1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10770256
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
佐藤 順 日本医科大学, 医学部, 助手 (80256940)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / 細胞死 / 核マトリックス蛋白 |
Research Abstract |
潰瘍性大腸炎(UC)の病態にはサイトカインや活性酸素などを介する様々な免疫応答の関与や,apoptosisとUCの病態との関係が示されている。細胞核基質内に存在する可溶性蛋白,核マトリックス蛋白(NMP)は細胞死やapoptosisの指標として注目されており、UC患者の臨床像とapoptosisを含めた細胞死の観点から検討を行っている。 UC患者血清中のNMP測定したところ,活動期9例中の5例で検出された。NMP陽性例は未治療あるいは増悪期の患者であった。また,サイトカインの1つTNF-αを測定したが活動期,緩解期で差は見られなかった。フリーラジカルであるNOを測定したところ尿中では活動期では非常に高く,緩解期では健常者と差はなかった。UCの増悪期に細胞死は惹起されていると考え,また、細胞死の誘導にはNOも関与していると考えた。生検組織中でのapoptosisの検討をTUNEL法で行っており,今後,可能であればNOSの活性を組織で検討したり,アポトーシス遺伝子の発現について検討しようと考えている。また,生検材料をホモジェネートしてDNAの抽出を行っており,電気泳動でラダーの検出を行う予定である。なお,血清からDNAを抽出しラダーの検出を試みたが,血清中のDNAはきわめて微量であるため検出できなかった。 患者の臨床像を検討すると,活動期であっても再発例では自己判断で食事を制限したり,SASPや5-ASAの量を増やす傾向が見られる。実際に血液採取や内視鏡検査を行うときには,症状が改善傾向にある場合もあるため,より細かな臨床像の把握や患者管理が求められている。また,現在,活動期のUC患者数が不十分であるため有意差を検討するにはさらなる患者数の蓄積が必要と考えている。
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