1998 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌細胞のアポトーシスにおける脂質メディエーターの役割
Project/Area Number |
10770264
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
笠原 寿郎 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (30272967)
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Keywords | 肺癌 / トロンボキサンA_2 / 血小板活性化因子 / シスプラチン / アポトーシス / カスパーゼ |
Research Abstract |
1、 肺癌細胞株におけるアポトーシスの検討 肺癌細胞株PC-9及びそのシスプラチン耐性細胞株PC-9/CDDPを用い実験を行った。それぞれの細胞株をシスプラチンに2時間接触させて後、24時間培養し、細胞を回収した。シスプラチンにより誘導されるアポトーシスはPC-9において有意に多く、さらにTXA2拮抗薬、合成酵素阻害薬を併用したところ、シスプラチンにより誘導されるアポトーシスは有意に増強した。即ち、TXA2の機能を阻害する事によりシスプラチン誘導細胞死が増加した。血小板活性化因子(PAF)拮抗薬についても同様の結果を得た。 2、 細胞死に関わるプロテアーゼの解析 TXA2拮抗薬の併用により、シスプラチン誘導アポトーシスの増強が確認されたので、細胞死に関わるシステインプロテアーゼであるカスパーゼについて検討した。ウエスタンブロット法を用い、蛋白量を検討したところ、TXA2拮抗薬の2時間接触によってカスパーゼ2が誘導された。PAF拮抗薬ではカスパーゼ1が誘導された。カスパーゼ3の2時間接触によってカスパーゼ2が誘導された。PAF拮抗薬ではカスパーゼ1が誘導された。カスパーゼ3はいずれの場合も変化を受けなかった。 3、 Mitogen-activated proteinキナーゼ(MAPK)の検討 TXA2拮抗薬、PAF拮抗薬のシスプラチン誘導細胞死の増強機序を解析するために脂質メディエーターと深く関わりを持つMAPKが果たす役割を検討した。活性化状態のMAPKを認識する抗リン酸化抗体を用いウエスタンブロット法で検討したが、TXA2拮抗薬、PAF拮抗薬共に、影響を与えなかった。 以上の結果から、脂質メディエーターであるTXA2、PAFを阻害する事によりシスプラチン誘導アポトーシスが増強し、これはシステインプロテアーゼであるカスパーゼ蛋白を誘導する事に起因すると考えられた。
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Research Products
(1 results)