1999 Fiscal Year Annual Research Report
肺サーファクタント・アポ蛋白の感染防御機能発現の分子機構と医学的応用
Project/Area Number |
10770269
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
佐野 仁美 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (80295344)
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Keywords | 肺サーファクタント / サーファクタント蛋白質A / CD14 / 生体防御 |
Research Abstract |
本研究の目的は、肺サーファクタント蛋白質A(SP-A)の生体防御機能を明らかにすることである。昨年度では、SP-Aがエンドトキシン(リポ多糖体)に結合すること、SP-Aがエンドトキシン受容体CD14に結合することによって、マクロファージにおけるエンドトキシン誘導TNFαの発現を調節することを見い出した。平成11年度では、SP-Aだけでなくサーファクタント蛋白質D(SP-D)もエンドトキシンに結合すること、SP-DもCD14に結合するが、その結合はSP-Aと異なりマンノースを加えることで抑制されカルシウム依存性であることを明らかにした。また、SP-AがCD14とR型のリポ多糖体と3者による複合体を形成し得ることを、放射性ラベルしたリポ多糖体を使用して証明した。更に、SP-Aが、エンドトキシン誘導によるサイトカインの発現を調節する作用について、より生理的な条件での作用をみることを目的に、人工肺サーファクタント(S-TA )の在在下で実験を行った。S-TAはその濃度依存性に、マクロファージ様細胞においてS型およびR型リポ多糖体刺激によるTNFαの発現を抑制した。SP-Aを同時に存在させると、S-TA単独下と比較して、S型リポ多糖体誘導TNFαの発現は更に著しく抑制されたがR型リポ多糖体誘導TNFαの発現は変化しなかった。このことから、サーファクタント脂質とサーファクタント蛋白は、それぞれ異なる機構で盛染に対する細胞応答を調節していることが示唆された。
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