1998 Fiscal Year Annual Research Report
p21/waf1とテロメラーゼを標的とした癌の遺伝子治療
Project/Area Number |
10770271
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
鈴木 基好 横浜市立大学, 医学部・附属病院, 助手 (10295496)
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Keywords | 遺伝子治療 / アデノウイルス / p21 / waf1 / テロメラーゼ |
Research Abstract |
P21/waf1の遺伝子を順方向で発現するアデノウイルスベクターを作成する目的で,cytomegalovirus immediate early promoter/enhancerがp21/waf1cDNAを発現するプラスミドベクター(pCMVp21SV2+)を,またp21/waf1をアンチセンス方向で発現するアデノウイルスベクターの作成目的でp21/waf1cDNAを逆方向に挿入したプラスミドベクター(pCMVp21SV2+AS)をそれぞれ作成,精製した。これらのプラスミドを,Microbix社から購入したpJM17(E1/E3領域欠失アデノウイルスゲノムを含んだコスミド)と共に293細胞にリン酸カルシウム法で導入した結果,それぞれp21/waf1を高発現するアデノウイルス(Adp21)とp21/waf1のアンチセンスRNAを発現するAdp21ASを得た。各ウイルスはA549細胞に感染すると高レベルのp21/waf1mRNAとp21/waf1 antiscnse RNAを発現していることが確かめられた。現在,これらのアデノウイルスを感染させた場合の癌細胞株の細胞周期に与える影響を解析中であり,特にAdp21の感染により細胞分裂が停止することが明らかであった。Adp21ASを高いMOIで感染させると細胞のコロニー形成能が変化するようであるが,未だ定量性のある結果には至っていない。抗癌剤や放射線感受性に与える影響については,現在実験系をsetupしている段階にある。また,平行してこれらウイルスのin vivo投与の影響を探る目的で,種々の細胞株の皮下腫瘍モデルを作成,対照群のデータを得ている。また,テロメラーゼを阻害するテロメラーゼアンチセンスRNA発現ベクターについては,アンチセンス発現プラスミドベクターを作成途上にあり,ウイルスベクターの作成の前段階にある。今後,ウイルス作成に進み,Adp21,Adp21ASと同様にin vitro系での評価を行う予定である。
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