1999 Fiscal Year Annual Research Report
p21/waf1とテロメラーゼを標的とした癌の遺伝子治療
Project/Area Number |
10770271
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
鈴木 基好 横浜市立大学, 医学部・附属病院, 助手 (10295496)
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Keywords | p21 / waf1 / テロメラーゼ / アデノウイルス / 癌 |
Research Abstract |
テロメラーゼアンチセンス発現アデノウイルスを作成後、in vitroにおいてヒト肺癌細胞A549に感染させたところ、容量依存性にmRNAの発現が認められた。しかし、高用量のアデノウイルス感染によってもテロメラーゼ活性の有意な変化が見られず、細胞の増殖曲線にも明らかな変化が見られなかった。これはin vivoにA549細胞を注入して作製した皮下腫瘍モデルでも同様であった。細胞をHeLa細胞や他の肺癌細胞株に替えた場合でも同様の結果で、ウイルスベクターを新たに作製したが、今のところ期待された腫瘍抑制効果は得られていない。 P21発現アデノウイルスベクターについては、in vitroにおいて期待された増殖速度の抑制がみられた。しかし、in vivoの皮下腫瘍モデルでは、一時的には腫瘍の進展は抑制するものの腫瘍の一部に遺伝子の移入を免れたものがあると、その細胞分裂によって再度腫瘍が増大する結果となり、最終的な腫瘍の進展速度には有意な変化を及ぼさなかった。 P21アンチセンスベクターはin vitroでは細胞の増殖速度には有意な変化を与えなかったが、コロニーの形成能に変化を与える印象があり、様々な細胞株を用いて更に検討を重ねている。ただし、今のところはin vivoにおいて皮下腫瘍の増殖速度を有意に抑制するにはいたって居らず、原因の一つにはアデノウイルスを用いても作製した皮下腫瘍細胞すべてに効率よく遺伝子が導入されないという技術的なハードルが存在するようである。この治療概念の可能性を更に追求する目的でin vitroであらかじめ遺伝子を高濃度のアデノウイルスで導入した腫瘍細胞を実験動物の皮下に注入して腫瘍の作製を行う実験を行っている。
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