1998 Fiscal Year Annual Research Report
非小細胞肺癌の浸潤、転移成立におけるCD44の関与
Project/Area Number |
10770274
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高橋 和久 順天堂大学, 医学部, 助手 (80245711)
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Keywords | 非小細胞肺癌 / CD44 / オステオポンチン / マクロファージ / アイソフォーム / 細胞障害性 |
Research Abstract |
【目的】非小細胞肺癌に発現される高分子量CD44アイソフォームは、その診断的重要性から注目されているが、低分子量CD44アイソフォームであるCD44Hの機能的意義については明らかでない。そこで、非小細胞肺癌におけるCD44Hの機能解析を目的として本研究を開始した。本年度は、主に肺癌細胞株を用いたin vitroの実験を主に行った。【方法】1。手術で得られた原発性非小細胞肺癌組織と周辺の正常肺組織から蛋白を抽出し、Western BlotでCD44アイソフォームの発現について検討を行った。2。CD44H陰性の非小細胞肺癌株H322にヒトCD44H遺伝子を導入し、CD44H stable transfectant(H322DH)とコントロールtransfectant(H322Dneo)を作成した。これらtransfectantsを用い、(1)細胞増殖能、(2)人工基底膜を用いた浸潤能、(3)CD44のリガンドとして知られるヒアルロン酸(HA)、及びosteopontin(OPN)への走化活性、(4)活性化マクロファージによる細胞障害性などを比較検討した。【結果】正常肺組織はCD44Hを強く発現していたのに対し、原発性非小細胞癌肺癌組織では、高分子量CD44アイソフォームの発現と、CD44Hの減弱、もしくは消失を認めた。両者で細胞増殖能、基底膜浸潤能に有為な差を認めなかったが、OPNに対する走化性のみが、H322DHで著明に増加した。一方、H322DHはH322Dneoに比較して、有為に活性化マクロファージによる細胞障害活性を認めた。【考案】非小細胞肺癌に発現されるCD44Hは、マクロファージによる抗腫瘍活性に関与している可能性が示唆された。
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