1998 Fiscal Year Annual Research Report
肺気腫患者の胸壁・横隔膜運動は、肺容量減少術後にどのように改善するか?
Project/Area Number |
10770276
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小林 一郎 東海大学, 医学部, 講師 (00246092)
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Keywords | MRI / 高速スピンエコー法 / 動的解析 / 胸式腹式呼吸 / 胸壁過伸展 |
Research Abstract |
平成10年度は、肺気腫患者の胸壁運動の特殊性を探る目的で、DynamicMRlを用いて、同年代の肺機能正常被験者の胸壁運動と比較した。対象は肺気腫患者(emphysema群)9名(年齢66.3才、平均FEV_1≒0.9L)と同年代の肺機能正常被験者(control群)5名(年齢70.8才、平均FEV_1≒2.7L)で行った。MRI(1.5T)は、高速スピンエコー法で、T_1強調画像を時間分解能1画像/0.4秒で撮影し、同時に行った換気量の測定から各肺気量位での胸壁運動を観察した。深呼吸時の胸壁の矢状断、冠状断、前額断像を各30枚連続撮影し、各肺気量位での横隔膜上下運動、肺門レベルの胸郭前後運動および胸郭左右拡大運動を解析した。各画像撮影時の肺気量をX軸に、各画像の測定値(胸壁運動)をY軸にプロットすると、両群とも、ほとんどの測定点で、胸壁運動と測定時の肺気量の間に良好な直線関係が認められた。従って、最小二乗法を用いて近似直線Y=SX+C(S:測定部位の動きが換気量変化に寄与する程度、C:呼吸運動時の呼気終末時の測定部位の長さ)を求め、両群の比較を行った。その結果、emphysema群では、肺は肺過膨張に伴う胸壁の尾側、前方、左右方向への過伸展が存在しており、各断面積は、control群の約1.5倍であった。さらにemphysema群では、横隔膜腹側の換気寄与が極めて低値であること、横隔膜と胸壁の換気寄与を比較するとcontrol群に比べ、胸壁の寄与が大きく、胸式優位な呼吸を行うことが観察された。これらの結果から、肺気腫患者では、過伸展位からの吸息に伴う胸壁、横隔膜拡大運動の不均等性があると考えられた。
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