1999 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素暴露による透過性肺水腫の発症機序に関する研究
Project/Area Number |
10770277
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
浦野 哲哉 東海大学, 医学部, 講師 (10203605)
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Keywords | 低酸素性肺血管収縮 / 高地肺水腫 / 低酸素 / 肺動脈圧 / 血管透過性 / ラット / 肺内水分量 / ミエロペルオキシダーゼ |
Research Abstract |
本年度申請者はラットを低酸素環境に暴露した際の肺動脈圧、肺血管透過性、肺内水分量、肺組織中のミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性を測定、検討した。 オスのSprague-Dawleyラット24匹を低酸素暴露(Hx)群と室内気対照(Nx)群に分けた。麻酔下に頚部から動脈カテーテル、肺動脈カテーテルを留置した。Hx群を290Torrの低圧チャンバー(大気圧下ではFIO_2 0.07に相当する低酸素環境)内で、Nx群を大気圧下(FIO_2 0.21)で24時間飼育した。その後Hx群を低酸素チャンバー(FIO_2 0.07)に、Nx群を室内気チャンバーに移し実験を開始した。両群にFITC-アルブミンを静脈内注射した。4時間後、肺動脈圧を測定、血液を採取、気管支肺胞洗浄を施行した。気管支肺胞洗浄液と血漿の蛍光強度の比を肺血管透過性の指標とした。肺組織の湿乾重量比を算出し肺内水分量の指標とした。活性化好中球の指標として肺組織中のMPO活性を測定した。 Hx群の平均肺動脈圧(28.3±0.8mmHg)はNx群(18.8±1.7mmHg)に比較して有意に高値であった。Hx群の肺血管透過性はNx群に比較して有意に上昇していた。Hx群の肺組織湿乾重量比(5.76±0.11)に比較して有意に高値であった。MPO活性はHx群で有意に上昇していた。以上より、低酸素暴露は不均一な肺血管収縮を惹起(平成10年度の知見)した後、透過性肺水腫を生じ、その過程を活性化好中球が修飾することが示唆された。現在、学術論文(Exposure to Hypoxi a Results in Uneven Pulmonary Blood Flow Distribution Prior to Pulmonary Edema)を投稿中である。
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