1998 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞死の分子生物学的解析法の確立と、神経変性疾患遺伝子による神経細胞死の研究
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10770294
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
新倉 貴子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10301491)
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Keywords | アルツハイマー病 / 細胞死 / カスペース |
Research Abstract |
(1)単一神経細胞での細胞死機構を解析する系の確立 T細胞などにおいて細胞死を誘導、促進する事が知られているセリンプロテアーゼ、カスペースの活性花を株化神経細胞において観察するため、まずカスペースの基質、テトラペプチジルMCAの微量注入を試みた。我々の使用している神経細胞株は微量注入法によって受ける障害の程度が高い為、細胞毒性を示さずかつ検出感度を満たす基質の注入量及び方法について検討中である。同時に、カスペース活性化をモニターできるインディケーターを考案した。膜移行配列-カスペース-GFP-核移行配列で構成される融合遺伝子を作出し、細胞に遺伝子導入することによりこの組換え融合蛋白を発現させた。全長の融合蛋白質は膜移行配列の働きで細胞内膜に存在し、GFPによる蛍光は細胞質内に観察される。細胞死が誘導されるとカスペースは他のプロテアーゼまたはカスペース自身により切断され活性化する。融合蛋白質内のカスペースが切断されるとGFPはそのC末端にある核移行配列に制御され、GFPの蛍光は核内に移行する。報告されている14種のカスペースのうち9種についてインディケーターを作成した。 (2)家族性ア病APP変異体が活性化する細胞死機構の解明 カスペースはその基質特異性により4つに分類できる。4種類の基質を用いたin vitro cell-freeassayを実施し、どのカスペースがAPPによる細胞死に関与するか調べた。その結果、1種の基質のみが有為な活性の上昇を示し、この基質に特異性を持つカスペース2、3、7が主に活性化されると考えられた。そこで、それらのインディケテターを用いて活性の経時的変化を観察したところ、始めにカスペース2が、その後カスペース3および7が活性化するらしいことがわかった。カスペースの阻害剤やアンチセンスを用いて、これらの結果について更に検討を続ける。
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