1998 Fiscal Year Annual Research Report
mRNAの不安定化によるアンジオテンシンII受容体の発現調節に関する研究
Project/Area Number |
10770313
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
和中 佳生 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (00240565)
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Keywords | アンジオテンシンII受容体 / mRNA不安定化 |
Research Abstract |
培養ラット血管平滑筋を用いて、AII、thrombin、phorbol esterの刺激を行い、Northernblot analysisによりAT1 mRNA不安定化を観察している。Acinomycin Dで転写を阻害し、新たなmRNAの生成を抑制した状態で、AT1 mRNAの半減期を検討したところ、コントロールに比べて、AII、thrombin、phorbol esterの刺激により明らかに半減期の短縮を認めた。しかし、AcinomycinDの添加する時期が重要であり、AII、thrombin、phorbol esterの刺激0〜2時間後の添加では、AT1 mRNAの不安定化は十分誘導されず、AII、thrombin、phorbol esterの刺激による新たな蛋白の転写・翻訳が必要であると考えられた。 また、AII、thombin、phorbol esterの刺激を介してAT1 mRNAの不安定化をもたらす細胞内情報伝達経路を明らかにすることを目的として、細胞内情報伝達系に関連した各種阻害薬、刺激薬を投与し、その影響を検討中である。現在までのところ、PKC阻害薬であらかじめ細胞を処置しておくと、AT1 mRNAの不安定化の割合はおよそ60%程度阻害されることを確認しており、PKCがこの系に関係していると考えられる。一方、MAP kinaseの阻害薬では特に明らかな影響を認めておらず、AII、thombin、phorbol esterの刺激によってもたらされる細胞増殖のシグナルとは異なる経路を介している可能性が考えられる。 今後さらに他の情報伝達経路との関連について検討していく予定である。また、AT1 mRNA不安定化に関連した因子の探索を行うことにより、その制御機構についても検討していく。
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