1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10770349
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高田 英俊 九州大学, 医学部, 助手 (70294931)
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Keywords | 造血幹細胞移植 / Tリンパ球 / 胸腺 / CD4 / CD8 |
Research Abstract |
胸腺機能が比較的保たれていると考えられる小児において、同種骨髄移植を受けた12名の、移植後のT細胞再構築課程を経時的に検討した。T細胞は移植後2ヶ月頃より増加してくる例が多かった。T細胞の中で、CD4+T細胞が移植後3ヶ月まで増加してこないのと対照的に、CD8^+T細胞は移植後2ヶ月頃より、増加してくる傾向が認められた。移植後早期に増加してくるCD8^+T細胞の多くは、CD8α鎖のHomodimerよりなるCD8分子を発現していた(CD8α/αT細胞)。この細胞はマウスでは胸腺外で分化したT細胞であることが明らかとなっており、人においてはCD28・CD8^+T細胞と同じく、活発な細胞増殖をした後のCD8^+T細胞であるとされている。この時期においてはCD28・CD8^+T細胞の割合も増加しており、CD8α/αT細胞の割合が多い患者ではCD28・CD8^+T細胞が多いという、正の相関が認められた。胸腺で分化した後抗原刺激を受けていないT細胞であると考えられているCD45RA^+CD4^+T細胞は、移植後6ヶ月頃より増加し始めた。移植後早期のCD8α/αT細胞とT細胞のCD45RA/RO比との間には負の相関が認められた。以上から、胸腺機能が比較的保たれていると考えられる小児においては、胸腺で分化したT細胞は移植後6ヶ月後頃から、末梢血中に増加してくるものと考えられ、その間に増加するCD8^+T細胞は移植したドナーの骨髄細胞中に混在した成熟T細胞が、移植後にレシピエント内で増殖したものと考えられる。このことは、T細胞除去造血幹細胞輸血をした場合、T細胞の出現が通常の造血幹細胞移植と比較して、遅れることと一致する。これらをさらに明確にするため、T細胞レセプター再構成の解析や、前処置に抗胸腺細胞グロブリンを使用した移植の場合とを比較する等の検討をする予定である。
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