1998 Fiscal Year Annual Research Report
早期産児のCD25陽性CD4T細胞の機能及びその意義
Project/Area Number |
10770350
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中山 英樹 九州大学, 医学部, 助手 (50253430)
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Keywords | 臍帯血 / Tリンパ球 |
Research Abstract |
早期産児のTリンパ球の特徴を明らかにするために、Tリンパ球の活性化マーカーであるIL-2 receptor α chain(CD25)に注目して検討した。早期産児では正期産児と比較して、T細胞、B細胞、NK細胞の割合に、有意な差は認められず、T細胞のCD4/CD8比も差を認めなかったが、CD25^+T細胞の割合は早期産児で有意に高く、在胎週数と負の相関を示した。このCD25^+T細胞はCD4^+T細胞に多く、また、CD45ROやFas陽性細胞の割合も有意に高かった。成人や成熟児の単核球をIn vitroで24時間培養すると、Tリンバ球の5%以下にしかApoptosisが誘導されないのに対して、早期産児の単核球では、Tリンパ球の約17%にApoptosisが誘導された。この時、Apoptosisが誘導された細胞は主としてCD25-T細胞であり、CD25^+T細胞はApoptosisになりにくい傾向が認められた。細胞内サイトカインを検討すると、早期産児のT細胞はIL-2産生能を有し、IL-4やIFN-γ産生能は低かった。以上のことより、早期産児のCD25^+T細胞はAutocrineあるいはParacrineにIL-2の刺激を受けることにより、In vitroでのApoptosisに抵抗性となっているものと考えられる。磁気ビーズでCD25^+T細胞を除いた後、T細胞を抗CD3抗体とIL-2で刺激するとCD25^+T細胞を除かない時に比較して、強い増殖反応が認められた。マウスではCD25^+T細胞は自己免疫の抑制に関与していることが明らかとなっており、早期産児のCD25^+T細胞も胎内における、自己反応性を抑制する働きがあるものと考えられた。このように早期産児の臍帯血中には早期産児に特徴的なT細胞が存在し、重要な役割があることが推測される。今後はさらにその機能について、検討する予定である。
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