1998 Fiscal Year Annual Research Report
G-CSFの免疫調節作用、特に移植における拒絶反応抑制効果の解析とその臨床応用
Project/Area Number |
10770365
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
齋藤 正博 順天堂大学, 医学部, 助手 (50301502)
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Keywords | G-CSF / Tリンパ球 / 骨髄移植 / 拒絶反応 / サイトカイン / トランスジェニックマウス / チロシンリン酸化 |
Research Abstract |
骨髄移植での臨床的経験やG-CSFトランスジェニックマウス(G-TG)の解析結果から、G-CSFには特定の移植における拒絶反応を抑制する効果が推定される。そこでG-CSFの免疫系に対する作用について解析を試みている。 健常人ボランティアにG-CSFを投与した場合の免疫系の変化を多角的に解析する実験を計画しているが、これについては現在当該施設の倫理委員会に許可申請中である。そこで本年度はG-TGにおける免疫系の解析を中心に研究を進めた。 まず、正常マウスとG-TGのTリンパ球のサイトカイン産生能を比較した。正常マウスの脾臓Tリンパ球をConA刺激するとIL-2,IFN-gamma,IL-4のすべての産生がみられるが、G-TGの脾臓Tリンパ球を同様に刺激した場合にはIL-4の産生が有意に低く、TH2細胞の機能抑制が示唆された。また、正常マウスにG-CSFを4日間連続投与した場合にも、同様の現象が観察された。また、ウエスタンブロット解析により、正常マウスとG-TGのTリンパ球ではチロシンリン酸化されている細胞内蛋白のパターンが大きく異なっていることが判明した。さらに、細胞表面抗原の発現状況についてフローサイトメトリーを用いて検討した結果、正常マウスに比較してG-TGのTリンパ球では(1)CD26の発現が有意に弱い、(2)ConA刺激によるCD25(IL2-receptor)の発現誘導が有意に弱い、(3)ConA刺激によってCD28の発現が有意に減弱する、等が明かとなった。以上の結果から、G-CSFはおそらく間接的にTリンパ球の刺激伝達系に作用し、その活性化の過程を修飾しているものと考えられる。現在、今回観察した現象の相互関係や、移植拒絶への抑制作用とどのように関連しているのかさらに解析中である。
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