1998 Fiscal Year Annual Research Report
老化促進モデルマウスを用いた光老化皮膚における皮膚神経系とメラノサイトとの応答
Project/Area Number |
10770393
|
Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
豊田 雅彦 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (00251885)
|
Keywords | 皮膚老化 / 光老化 / 老化促進モデルマウス / メラノサイト / 神経ペプチド / 神経性因子 |
Research Abstract |
本年度は、(1)老化促進モデルマウス(SAM P10)の形態学的・皮膚生理学的・生化学的特徴を対照マウス(SAM Rl)との比較において調べ、SAM P10のヒト皮膚老化モデル動物としての有用性を様々な角度から検討すること、および(2)皮膚神経系因子、特に神経ペプチドのメラノサイトに及ぼす作用の基礎的検討の2点に重点をおいて研究を進めた。 1. 形態学的にSAM P10では、接着構造の未熟な角質層、表皮肥厚、顆粒層数の増加、ケラトヒアリン顆粒の形態異常、エラスチンの増加、真皮炎症細胞浸潤・肥満細胞数の増加、グリコサミノグリカンの増加、毛包数の減少、脂腺小葉の肥大、脂肪組織の萎縮が特徴的であった。これらの所見はSAM P10が固有の皮膚老化と光老化の形態学的特徴を併せ持つことを示している。皮膚生理機能では、SAM P10では角層水分量が低下しており、また脱脂により容易にバリア破壊が生じた。角質細胞間脂質の分析によりSAM P10では総セラミド量の減少とセラミド分画の異常が認められた。ヒスタミンおよび神経ペプチドの皮内投与による皮膚反応の検討では、SAM P10で有意な皮膚反応(I型皮膚アレルギー反応)の減弱がみられた。以上より、SAM P10はヒト老化皮膚のモデル動物として有用であることが確認された。 2. 器官培養ヒト皮膚を種々の神経ペプチドで刺激し、メラノサイトの形態学的変化を観察した結果、calcitonin gene-related peptide(CGRP)により、表皮メラニン量の増加、メラノサイトの増殖、細胞の活性化が認められた。培養表皮角化細胞を同様に刺激し、その培養上清(KCM)をメラノサイトの培養系に添加したところ、CGRP-KCMがメラノサイトにおけるチロジナーゼ活性とdendricityに促進的に作用した。以上よりCGRPで刺激された表皮細胞由来のメディエーターがメラノサイトの活性化に寄与していることが明らかとなった。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Toyoda,M,et al.: "Movphological alternation of epidermal melanocytes in photoageing : an ultrastructural and cytomorphometricul studu" Br.J.Dermatol. 139. 444-452 (1998)
-
[Publications] Toyoda M,et al.: "Movphalogical assessment of the effects of cyclosporin A on mast cell-nerve relationship in atopic dermatitis" Acta,Derm.Venereol.(stockn). 78. 321-325 (1998)
-
[Publications] Toyada M,et al.: "ultrastruetural observation of Langenhans cells in photoaging" Dendritic cells. 8. 10-13 (1998)
-
[Publications] Toyoda M,et.al.: "Znnervation of melanocytes in human skin : possible participation in the photoaging process" J.Dermatal.25. 486-487 (1998)
-
[Publications] 豊田雅彦,他: "メラノサイト・ランゲルハンス細胞と皮膚老化" 細胞. 30. 518-523 (1998)