1998 Fiscal Year Annual Research Report
膠原病患者由来B細胞におけるCD19,CD22の発現量,シグナル伝達の解析
Project/Area Number |
10770394
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 伸一 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (20215792)
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Keywords | 全身性強皮症 / 自己免疫 / B細胞 / CD19 / CD21 |
Research Abstract |
CD19トランスジェニックマウス、CD19ノックアウトマウス、CD22ノックアウトマウスの解析によって、CD19、CD22の発現量はB細胞の抗原レセプターのシグナルを質的、量的に変化させることによりB細胞トレランスの制御、自己抗体の産生に深く関与していることが示唆されている。そこで膠原病患者でもB細胞におけるCD19、CD22の発現量の異常が自己抗体産生、ひいてはその発症に関与しているという仮説の下、本研究の目的は膠原病患者由来のB細胞上のCD19、CD22の発現量を検討することである。対象として全身性強皮症(SSc)26例、活動期の全身性エリテマトーデス(SLE)5例、健常人32例を用いた。CD20陽性B細胞表面上のCD19、CD21、CD22、CD40の発現量は、それぞれに反応する抗体を用いたフローサイトメトリーにて測定した。SScにおけるCD19の発現量は健常人と比較して、11%増加していた(p<0.005)。経口ステロイド投与を受けていないSSc患者ではCD19の発現量は健常人と比較して20%増加しており(p<0.00001)、逆に、少量の経口ステロイド投与をうけているSSc患者ではCD19の発現量は健常人と比較して14%減少していた(p<0.005).同様にCD21発現量は経口ステロイド投与を受けていないSSc患者では健常人と比較して23%増加しており(p<0.001)、経口ステロイド投与をうけているSSc患者では健常人と比較して23%減少していた(p,0.005)。しかしながら、CD20、CD22、CD40の発現量は健常人と同程度であった。SScとは対象的に、活動性のSLE患者では、CD19およびCD21の発現量は健常人と比較して減少していた。このようにSSc患者での自己抗体産生などの自己免疫現象はB細胞上のCD19、CD21の発現量の増加と関連している可能性が示唆された。
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