1999 Fiscal Year Annual Research Report
マウス移植片対宿主病での宿主樹状細胞の移植T細胞活性化における役割の検討
Project/Area Number |
10770409
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
浅越 健治 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (80294461)
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Keywords | 移植片対宿主病(GVHD) / 樹状細胞 / ランゲルハンス細胞 / T細胞活性化 |
Research Abstract |
1,結果: (1),BALB/CヌードマウスにC5766マウスのTリンパ球を静注後、皮膚の組織学的変化を経時的に検討したところ5日目より皮膚にGVH型の組織反応が認められた。免疫組織学的にもこの時期に一致して角化細胞の細胞膜にClass II MHC抗原が発現した。 (2),表皮シートを用いて、免疫組織学的に表皮の樹状細胞であるランゲルハンス細胞(LC)の数的変化を軽時的に検討したところ6日目から急激に減少していた。 (3),しかし、凍結切片におけるTUNEL法、フローサイトメトリーによるAnnexin-Vの結合試験において、LCがアポトーシスに陥った像はみられなかった。 (4),形態学的には、LCが減少し始める直前にLCの樹状突起は顕著となり細胞が大型となった。また減少し始めた時期にはLCの樹状突起は減少し、類円形の形態を示した。このことはLCがGVHDの過程において表皮から遊走していることを示唆する。 (5),表皮を単細胞に分離しフローサイトメトリーによりLC上のClass II MHC抗原(IA^d抗原)、共刺激分子(CD40,CD80,CD86)の発現を経時的に検討したところいずれも5日目から発現が増強し、GVHDの発症と同時にLCが活性化されることが示された。 2,考察: 宿主樹状細胞のうち表皮LCの移植T細胞活性化における役割につき検討した。GVHDが生じると同時にLCが活性化され、その直後表皮からLCは減少した。しかしこれはLCが移植T細胞に攻撃されてアポトーシスに陥ったためではなく、活性化され表皮から遊走したためであることが示唆された。従って、LCがprimaryな移植T細胞の活性化に関与している可能性は低いが、CVHDが起こると表皮から遊走し、移植T細胞の更なる活性化あるいは増殖に関与し病態を修飾している可能性があるのではないかと考えられた。
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