1998 Fiscal Year Annual Research Report
PCR法を用いたスポロトリコーシスのDNA診断法の確立
Project/Area Number |
10770418
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
杉田 泰之 横浜市立大学, 医学部, 助手 (30264617)
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Keywords | Sporothrix schenckii / DNA診断 / PCR法 / プライマー |
Research Abstract |
深在性真菌症であるスポロトリコーシスのPCR法によるDNA診断法の確立を目標とし、今年度の計画は、ミトコンドリアDNAの制限酵素解析によって少なくとも十数種類以上の遺伝子型があるとされるSparothrix schenckiiについて、できるだけ多くの菌株に共通する配列をもつPCR法のプライマーを設定することである。 まず第一に、Sporothrix schenckiiのATCC No.14284の菌株からすでに分離に成功しているDNA断片上に予備的に設定したPCR法のプライマーを用いて、複数の菌株から、同じ領域と考えられるDNA断片を分離した。これらの個々の菌株の間の塩基配列の微妙な違いを明らかにし、複数の菌株における遺伝子配列を比較検討することによって、これらの菌株に共通の配列をもつプライマーの設定を新たに行なった。 一方、金沢医科大学皮膚科学教室から、多数のSporothrix schenckiiの菌株の供与を受け、継代培養し、DNAを個々に抽出した。これらに対して、新たに設定したプライマーによるPCR法をおこなったところ、予備的に設定したプライマーが、30菌株のうち14株(46.7%)でしかDNAの増幅がみられなかったのに対し、新たに設定したプライマーでは30菌株すべてでDNAの増幅が確認された。さらに菌株数を増加したところ、合計75菌株のうち、69菌株(92%)でDNAの増幅が確認された。このように、多数の菌株を高率に検出できるプライマーを設定し、この成果を平成10年度の第42回日本医真菌学会総会で報告した。 来年度は、さらに検出率の高いプライマーの設定を試みるとともに、少量の検体から、より効率的に確実にDNAを抽出する方法の確立をはかり、これらを総合して、感度と特異性の高い、実用的なスポロトリコーシスの診断法の確立を目標としたい。
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Research Products
(2 results)