1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト皮膚癌株細胞の増殖・分化に対する各種薬剤の作用
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10770422
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
秋山 正基 昭和大学, 医学部, 講師 (80245852)
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Keywords | 有棘細胞癌株 / 転移性皮膚癌株 / SCIDマウス / ブファリン / カドヘリン / インテグリン / 分化 / 細胞外マトリックス |
Research Abstract |
原発性皮膚有棘細胞癌由来株SSCC-1と口腔粘膜原発扁平上皮癌皮膚転移巣由来株SSCC-2の2種類のヒト皮膚癌細胞株をSCIDマウスに腹腔内投与したところ,SSCC-2の方がSSCC-1よりも皮下腫瘤を形成しやすい傾向がみられた。しかしブファリン単独投与,ブファリン・ブレオマイシン併用のいずれにおいても明かな皮下腫瘤形成抑制作用は認められなかった。SSCC-1では細胞集塊から遊離した個細胞のほとんどが孤立性にフラスコヘ再接着し,その後も細胞同士が接合する傾向は乏しがったが,SSCC-2では当初から細胞同士が接合する傾向が強く、塊状にフラスコヘ再接着した。インボルクリンはSSCC-1で強陽性SSCC-2で弱陽性であったが,集塊部分と遊離細胞に差異はなかった。E-カドヘリンの発現はin vivo,in vitroのいずれにおいてもSSCC-2の方が強かった。正常線維芽細胞や各種細胞外マトリックスへの接着性はむしろSSCC-1の方が有意に強かった。一方,インテグリンβ_<1,2,4>の発現はin vivoでは全てSSCC-2の方が強かったが,in vitroではβ_<1,2>でSSCC-1の方が強かった。インテグリンβ_1に対するモノクロナール抗体で処理した癌細胞の線維芽細胞に対する接着性はSSCC-1で減弱した。癌の浸潤転移において,E-カドヘリンの発現が弱い腫瘍の方が原発巣から腫瘍細胞が遊離しやすいと言われている。しかし遊離した後は,脈管内での腫瘍塞栓形成や転移臓器での腫瘤形成の面では,E-カドヘリンの発現が強い細胞の方が細胞同士が接合しやすいため,浸潤転移には有利に働くのではないかと考えた。同一の細胞でもその時期に応じてインテグリンの発現量を変化させていることが示唆された。
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