1998 Fiscal Year Annual Research Report
進行頭頚部癌における癌抑制遺伝子発現と放射線治療の役割
Project/Area Number |
10770434
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
清水 わか子 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (80241959)
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Keywords | 進行頭頚部癌 / 術前照射 / 抗腫瘍効果 |
Research Abstract |
1) 放射線治療患者記録の簡易データベース化 本研究を開始するにあたって、まず対象患者の抽出を確実にするため、放射線治療患者記録の管理データベース作成の必要があった。 1978年に放射線治療開始当初から、1998年末までの放射線治療患者の全治療記録をチェックし、照射対象疾患・照射部位・照射開始日・照射終了日・総線量などの極めて基本的な放射線治療の記録をコンピュータ入力した。約300名の記録不明患者が存在したが、1998年6月の本研究開始時より1998年11月末までにおよそ延べ8300件の放射線治療に関し、治療記録のチェックが完了した。 2) 対象患者の選定と追跡調査(進行中) 引き続いて本研究対象患者の選定にあたった。 選定にあたっては、 (1) 当筑波大学付属病院で現在保管されている病理組織が1993年以降である、 (2) 1993年春に本研究で対象としている中下咽頭癌・喉頭癌の治療方針について当該診療科側で変更があった、 という2つの点を考慮した。 1993年以降、遠隔転移を伴わない局所進行中下咽頭癌・喉頭癌の根治的手術を施行するにあたり、術前照射を行った患者で1998年12月末までに手術後6ヶ月以上の経過観察が行われていたのは52名(中咽頭癌10名、下咽頭癌24名、喉頭癌10名)であった。現在これら対象症例について、手術所見・遠隔成績の追跡調査中である。39名の追跡調査終了時点で以下のような傾向が認められた。 (1) 術前照射によって、12名においては組織学的に腫瘍が完全消失している事が確認された。 (2) 術前照射の抗腫瘍効果が極めて乏しかった9名中7名の原病死が確認された。 本研究開始時に想定された事であるが、抗腫瘍効果が乏しかった患者の術前病理組織には他の患者との違いを認めなかった。。
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