1999 Fiscal Year Annual Research Report
悪性リンパ腫の進展形式と接着遺伝子発現に関する臨床的・免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
10770447
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 和正 九州大学, 医学部, 助手 (20284507)
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Keywords | 悪性リンパ腫 / 非ホジキンリンパ腫 / 進展形式 / 接着因子 |
Research Abstract |
昨年度は、過去11年間に当科にて治療した初発非ホジキンリンパ腫168例について原発部位、進展形式、およびその予後について検肘した。 本年は、その研究をさらに進め、 1,再燃を起こした中悪性度、高悪性度リンパ腫のうち、一つのリンパ節領域または隣接する二つのリンパ節領域にのみ再燃した、限局性再燃13例について検討した。放射線治療は全例に施行され、また通常量の化学療法を併用しているものは8例であった。この救済治療後の5年生存率は80.2%、5年無病生存率は76.2%であり、良好な治療成積が得られていた。これにより、限局性再燃では、末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法などの強力な治療は必すしも必要ないことが示唆された(論文投稿中)。 2,この限局性再燃例のうち、病理標本(パラフィンブロック)の利用できる症例を選び出し、接着因子CD44の発現の有無を調べたが、コントロールと有意な差は検出できなかった。 3,完全寛解に至った非ホジキンリンパ腫における経過観察時のガリウムシンチの有用性について検討した。1987年から1998年までに当科にて治療し、完全寛解に至った171例のうち、66例に再燃が認められた。完全寛解中にのベ227件のガリウムシンチが施行されたが、無症状の再燃を検出できたものはわずか1件のみであった。再燃の確定の契機となったものは、大部分は自覚症状または他覚症状であった(71.2%)。しかし、再燃確定後に施行したガリウムシンチでは83.3%が陽性であった。また、再燃前に陰性とされたガリウムシンチから3.3%が1ケ月以内に、15%が2ケ月以内に、38.3%が3ケ月以内に再燃しており、ガリウムシンチは必ずしも症状の出現する以前に再燃を検出できるわけではないことが示唆された(論文準備中)。
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