1998 Fiscal Year Annual Research Report
腎のアミノ酸膜輸送機能の画像化を目的とした放射性機能診断薬の開発
Project/Area Number |
10770451
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
鹿野 直人 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助手 (80295435)
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Keywords | アミノ酸 / 腎機能診断薬 / 膜輸送機能 / 放射性医薬品 / チロシン |
Research Abstract |
アミノ酸を母体構造に持つ新しい腎機能診断薬の開発を目的としてL-tyrosineの誘導体の人工アミノ酸[3-I]α-methyl-L-tyrosine(I-AMT),[4-I]-L-m-tyrosine(I-mTyr)を合成し,腎における膜輸送機能診断薬としての有用性の評価を行った.^<123>I標識体の使用を最終目的とし,実験の便宜上^<125>I標識体を用いて検討した.マウスによる体内動態の検討の結果^<125>I-AMTは5分^<125>I-mTyrは2分をピークとする腎への高い集積と速やかなクリアランスが観察された.投与後5分におけるラットの腎臓のオートラジオグラフによる放射能分布では,^<125>I-AMTは,腎全体の放射能の約90%以上が腎皮質に分布し,一方^<125>I-mTyrの分布は,腎盂の放射能の方が高かった.尿細管分泌阻害剤probenecidの尿中排泄に及ぼす阻害効果が両方の化合物で認められた.代謝物は,腎組織中及び血液,尿中の約95%以上が未変化体のままであった. 以上の検討からこれらの化合物は,腎臓への高い集積及び速やかな尿中排泄と,放射性医薬品としての応用に必須な高い代謝安定性を具備しており,人工アミノ酸の腎臓での代謝を反映した新しいタイプの腎機能診断薬としての可能性が示唆された.今後母体化合物であるL-tyrosineとの比較検討も含め,これらの化合物が,腎臓においてどの輸送機構に親和性を有するか等を含めた代謝機序の解明や,近位尿細管の輸送障害病態モデル動物を用いた実験等によりこれらの化合物の動態と疾患との関連を明らかにすることなどが期待される.
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