1998 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化症による脳循環への影響-血管自動調節能の観点からみた機能異常評価-
Project/Area Number |
10770462
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
水村 直 日本医科大学, 医学部, 助手 (90287748)
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Keywords | 動脈硬化 / 脳血流SPECT / acetazolamide / 血管自動調節能 / 高血圧症 / 高脂血症 / 糖尿病 |
Research Abstract |
脳虚血疾患の危険因子を有する群として高血圧症、糖尿病、高脂血症などを有する中高年者60(平均年齢74歳)症例に対して、血管拡張剤(acetazolamide)負荷した状態でを脳血流SPECTを施行して血管拡張能低下領域を検出した。全60症例の中で各画像診断を施行した症例について、血管の狭窄・閉塞や脳梗塞の検出率と負荷時SPECTの検出率の比較では、頚部超音波検査で狭窄所見が認められない2例中1例に脳循環障害が存在し、狭窄所見を認めた34人中28人(82%)でSPECT検査上で循環障害を認めた。SPECT検査とMR撮影・超音波・血管造影像上の血管異常例や、CT・MRI上での脳組織の形態異常例における比較ではほぼ同等の検出率が認められた。各画像診断で血管狭窄・閉塞所見や梗塞所見の存在がみられず動脈硬化症の危険因子のみの症例でも10例中1例において、脳循環不全が認めた。これまでの結果では動脈硬化症例における脳循環障害の早期検出においてDiamox負荷脳血流SPECTは他の検査方法よりも有効性が認められた。 動脈硬化の危険因子の影響を検討していくと高血圧症、糖尿病、高脂血症などいずれの因子を有する群で循環障害を高率に存在しているが、糖尿病のみが循環障害の出現頻度に有意差を認めた。一方で、動脈硬化性変化自体は、糖尿病を含めた様々な因子の関与で生じるものであろうが、脳循檗障害に至る過程では今までに検討した他の危険因子よりも重要な影響、つまり、糖尿病による末梢の微小循環での循環障害を生じさせることが、主要血管の狭窄等と同等以上に影響していると考察される。さらに今後も症例を重ね、各危険因子の重症度・治療の有無・治療の効果等についても考慮し検討する予定である。
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