1998 Fiscal Year Annual Research Report
心筋SPECTを用いた虚血性心疾患の正診率向上に関する研究-呼吸同期SPECT装置の開発-
Project/Area Number |
10770463
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
趙 圭一 日本医科大学, 医学部, 助手 (10277543)
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Keywords | myocardial SPECT / respiratory gating / atrenuation artifacts / scatter artifacts |
Research Abstract |
市販の呼吸モニター、独自のトリガー発生装置、SPECT装置からなる呼吸同期SPECTシステムを開発し、健常男性ボランティア7名を対象に本システムの呼吸同期精度を検証し、吸気相と呼気相の左室下後壁集積を比較することで呼吸同期法による下後壁偽欠損の改善を検討した。SPECTデータ収集ステップ前の5呼吸の平均呼吸周期±20%の範囲を外れる呼吸周期ではデータ収集を中止するように設定した。この収集条件下では、データ収集中止となったトリガー数は全トリガー中0〜12%と低頻度であった。プロジェクションデータ上の胆嚢集積直上に関心領域を設定し、呼吸による横隔膜の動きに伴い胆嚢集積が上下動することで変化する関心領域内カウントをプロットすることでSPECTデータ上の呼吸周期カーブを得た。7全例で良好な呼吸周期カーブが得られ、吸気・呼気のピークを示すフレームを容易に検出可能であった。吸気・呼気のピークを示すフレームのプロジェクションデータを用いて吸気相・呼気相それぞれの短軸横断像から極座標に展開後、左室を9分割し左室内最大カウントに対するカウント比(%Uptake)として各セグメント毎に算出した。下後壁の偽欠損改善の指標として、下後壁の%Uptake、下後壁と側壁の%Uptake比、%Uptakeの9セグメント内変動係数を吸気相と呼気相で比較した。また、下後壁集積と左上腹部集積とが分離するカットオフ閾値を腹部集積からの散乱線量の指標とし、吸気相と呼気相で比較した。下後壁の%Uptake、下後壁と側壁の%Uptake比、%Uptakeの9セグメント内変動係数は吸気相でいずれも有意な改善がみられた。また、カットオフ閾値も吸気相では有意に低値で下後壁集積と腹部集積を分離でき、吸気相における散乱線の軽減が示唆された。呼吸同期SPECTシステムにより吸気相をターゲットにしたデータ収集をすることで、心筋SPECT像下後壁カウントの横隔膜減衰、腹部散乱線の軽減が可能で、今後虚血性心疾患に本システムを応用することで下後壁病変の正診率の向上が期待された。
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Research Products
(1 results)