1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10770476
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
大森 昌夫 福井医科大学, 医学部, 助手 (80242593)
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Keywords | ダウン症候群 / 早期老化 / magnetic vesouance imaging / magnetic vesouance spectroscopy / 脳波 / 痴呆 |
Research Abstract |
既に初回検査を施行し、その脳機能について報告している成人ダウン症候群(DS)母集団32人のうち(Murata et al.,1993.Biol Psychiatry 34,290-297;Murata et al.,1994.Biol Psychiatry 35,422-425)、3年を経過した対象者21人、および6年を経過した対象者7人に頭部magnetic resonance imaging(MRI),magnetic resonance spectroscopy(MRS),脳波、血液検査、臨床診察を施行した。また2人の新規対象DSにも同検査を施行した。 3年経過したDS21人中9人のみでMRI,MRSが可能であった。20歳代、30歳代、40歳代ともMRI上、明瞭な脳形態の変化は認めなかった。MRSでは、20歳代DS4人中1人のみがNAA/Crが低下したのに対し、40歳代では4人中3人が高度低下を示した。一方Cho/Cre比は、20歳代DSでは3年間でやや増加したのに対し、40歳代では4人中3人で低下していた。3年経過したDS21人中20人が脳波検査可能であった。平均周波数は各年代とも3年間で減少していた。定量脳波のポイント数の変化では、20歳代はα3〜β2(10〜30Hz)が減少しδ(1〜4Hz)およびθ2(6〜7Hz)が増加、40歳代はα3〜β2が減少していた。20歳代DSの3年間の知能指数の変化は小さく、40歳代ではMRSのピーク面積比の変化を呈したDSで知能低下を認めた。現在までの結果より、以下のことが推察される。(1)20歳代DSで既にsubclicicalな脳機能低下が開始している。(2)40歳代DSでは、脳の加齢が神経細胞自体の脱落・変性へと比較的急速に進行している。 なお、6年を経過した対象DSでは諸事情(死亡、身体疾患 転居など)による不参加が多く、協力が得られた7人中でも6人がMRI,MRS検査不能であった。また、初回検査を施行した健常対照者のうち協力が得られたのは、3年経過3人、6年経過1人のみであった。いずれも次年度に対象者のデータ収集を継続する。
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