1998 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー型痴呆の生体リズム障害の病態と治療法の開発に関する研究
Project/Area Number |
10770480
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
大橋 裕 浜松医科大学, 医学部, 助手 (30242762)
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Keywords | アルツハイマー型痴呆 / 生体リズム / メラトニン / 光照射 |
Research Abstract |
血中メラトニン濃度は生体リズムを反映する最も一般的な生物学的指標である。痴呆患者ではその日内変動に変化が認められ、この変化が夜間せん妄や徘徊などの異常行動の発現に関与しているとの指摘がある。本研究ではアルツハイマー型痴呆とメラトニン分泌との関連性についてより詳細な知見を得るため、本疾患患者における血中メラトニン濃度の日内変動を検討し(研究1)、さらにメラトニン分泌に対する高照度光照射の影響を観察した(研究2)。 研究1:アルツハイマー型痴呆の診断で入院中の17例を痴呆群とした。対照群として、痴呆群と同じ病棟に精神疾患のため入院中であった10例(入院対照群)と、健常者11名(健常対照群)を選定した。血中メラトニン濃度測定のために3時間毎に24時間の採血を施行した。その結果、3群いずれも、夜間の血中メラトニン濃度の上昇を特徴とする明確な日内リズムを示した。しかし、痴呆群と入院対照群では、健常者と比較して日中の血中メラトニン濃度が有意に高くなっていた。 研究2:研究1で日中の血中メラトニン濃度の上昇を認めた要因の一つとして、これらの患者が照度の低い病棟で生活していたことが考えられた。そこで、入院中であった2群のメラトニン分泌に対する光環境の影響を明らかにするため、研究1の痴呆群からの6例、入院対照群からの5例に対して、3.000ルクスの光源による光照射を連続1週間施行し、血中メラトニン濃度の日内変動の変化を観察したところ、入院対照群では日中の血中メラトニン濃度が有意に低下したが、痴呆群ではこのような変化は観察されなかった。 本研究から、アルツハイマー型痴呆患者では血中メラトニン濃度の日内変動が障害されていること、また、この変化は光照射に反応しないことが示された。他の報告と考え合わせ、メラトニン分泌の異常は、本疾患の病的過程に伴う中枢神経の変性に基づく二次的なものと考えられた。
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Research Products
(1 results)