1998 Fiscal Year Annual Research Report
覚せい剤精神病の逆耐性獲得機構におけるG蛋白質介在伝達系の変化に関する研究
Project/Area Number |
10770500
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
菊池 周一 国立精神・神経センター, 精神健康研究所・薬物依存研究部, 研究員 (40300959)
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Keywords | メタンフェタミン / 逆耐性 / G蛋白質βγサブユニット / 免疫組織化学 / in situハイブリダイゼーション / ラット / 腹側被蓋野 / 側坐核 |
Research Abstract |
【研究目的】 メタンフェタミン(MAP)投与動物における逆耐性獲得機構は覚せい剤精神病再発のモデルと考えられているが、ドーパミン系などG蛋白質共役型受容体を介する伝達系の関与が明らがになってきた。本研究では逆耐性現象において、近年注目されているG蛋白質βγサブユニットの意義を明らかにする目的でAAMAP急性および慢性投与動物を用いて発現の変動を免疫組織化学的手法により検討した。 【方法】 成年雄性Sprague-Dawleyラットを用いた。逆耐性獲得ラットは、MAP5mg/kgを1日1回2週間腹腔内投与した。最終投与後8週間放置した後、MAP(MM群)または生理食塩水(MS群)を再投与した。急性投与群(SM群)は生理食塩水を2週間連続投与後4-8週間放置した後、1回MAP同量を再投与した。対照群(SS群)は、生理食塩水を同時点で投与した。分析は各群とも再投与後3時間、6時間、24時間、1週間後の各時点で行った。側坐核(NAおよび腹側被蓋野(VTA)前頭前皮質を含むパラフィン切片標本を作製し,抗G蛋白質β1・2、γ1・3ポリクローナル各抗体を用いてABC法により発現を検討した。 【結果】 β1サブユニットはNAで急性投与群および逆耐性獲得ラット後のMAP急性投与群で最終投与後24時間後において対照群と比較して発現の増大を認めた。その変化は1週間後には消失していた。また、VTAではSM群で最終投与後24時間後において対照群と比較してβ1サブユニットの発現増大を認めたが、逆耐性獲得後のMM群、MS群においてはβ1サブユニットの発現が各時点で不変であった。また、γサブユニット蛋白レベルはγ3でβ1と同様の発現の変動が認められた。 【考察】 以上から、G蛋白質β1およびγ3サブユニットを介する細胞内伝達系が逆耐性の維持機構に重要な意義を有することが示唆された。
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[Publications] Shuichi Kikuchi: "Changes in gene transcript expression of Gprotein beta and gamma subunits in methamphetamine-induced behavioral sensitization." Neur osci Res. Supl22. 365-365 (1998)
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[Publications] Kikuchi S: "Increases in NMDAR1 mRNA levels are involved in the generation of local afterdischarges in amygdaloid-kindleo rats." Epilepsia. 39Supl5. 73-73 (1998)
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[Publications] Iwasa,H: "The apoptotic brain damages and the changes in expression level of Bax in experiment al models of epilepsy." Neur osci Res. Supl22. 337-337 (1998)
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[Publications] 渡辺博幸: "てんかん原性獲得機構におけるアポトーシスの意義" てんかん治療研究振興財団研究年報. 10. 23-29 (1998)
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[Publications] Iwasa,H: "Altered expression levels of Gprotein subclass mRNAs in various seizure stages of the kindling model." Br ain Res.(in press). (1999)