1999 Fiscal Year Annual Research Report
t(5;12)(q31;p13)転座を有する骨髄異形成症候群の発癌機構の解明
Project/Area Number |
10770517
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
矢ケ崎 史治 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (40265418)
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Keywords | 白血病 / 骨髄異型成症候群 / 染色体異常 / t(5;12)(q31;p13) / 発癌機構 / TEL遺伝子 / ACS2遺伝子 |
Research Abstract |
MDS、AML、好酸球性白血病に認められたt(5;12)(q31;p13)転座の転座切断点に位置する責任遺伝子の単離を行った。その結果、12p13切断点は転座好発遺伝子であるTEL内に存在し、5q31切断点はACS2(Acyl CoA Sythetase2)の5末側、内部、3末側に分布しており、全例でTEL-ACS2転写産物の発現を認めた。また2例でACS2-TEL転写産物の発現を認めたが、本転座によって生じる全ての融合転写産物はout-frameに融合を起こしており機能的蛋白を生成しない。以上より本転座でTEL及びACS2の遺伝子破壊が腫瘍化に関与すると推察され報告した。ACSは脂肪酸の細胞内への取り込みや、細胞内脂肪酸代謝における第1段階に不可欠な脂肪酸アシル化に関与する酵素で、脳、骨髄、胎生肝で発現し、正常造血に重要な役割を果たしていると考えられる。ヒトACSにはACS1〜5の5種類のisozymeが存在し、それぞれ発現組繊や基質とする脂肪酸が違う。そこで本研究では造血細胞系譜及びや患者白血病細胞におけるACS isozyme発現スペクトラムを検討した。 ACS1〜4までの遺伝子発現をRT-PCR法により検討した結果、赤芽球コロニーではACS2のみの発現を顆粒単球系コロニーではACS1,3,4の発現を認めリンパ球ではACSの発現を認めなかった。また急性前骨髄球性白血病ではACS2,3,4の発現を認めることからACS2は赤芽球および顆粒球分化において発現すると考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yagasaki F, et al: "Fusion of TEL/ETV6 to a novel ACS2 in myelodysplastic syndrome and acute myelogenous leukemia with t(5;12)(q31;p13)"Genes Chromosomes Cancer. 26. 192-202 (1999)
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[Publications] 矢ケ崎 史治: "TEL/ETV6遺伝子異常と白血病"血液腫瘍科. 40. 19-28 (2000)