1998 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄異形成症候群の関連遺伝子MLF1の造血細胞分化における解析
Project/Area Number |
10770520
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
川村 真代 関西医科大学, 医学部, 助手 (00298853)
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / MLF1 / 造血幹細胞 |
Research Abstract |
造血幹細胞の疾患であるMDSの関連遺伝子MLF1について、幹細胞における生理機能および遺伝子の量的・質的異常が及ぼす機能異常について解析し、以下の諸点を明らかにした。 1.各種造血器疾患における発現状態・遺伝子異常の検討: 細胞株を用いたRT-PCR法による定量化を各種造血器疾患例に適応し、野生型MLF1の発現傾向を調べた。AMLでは比較的未分化段階およびpost-MDS AMLの約半数において発現レベルの亢進があり、MDSでもRAEB-RAEB-Tの白血病移行頻度が高いハイリスク群で約半数に発現亢進を認め、t(3;5)陰性症例においてもMDS病態と関連してMLF1の発現が亢進する傾向がみられた。また、強発現を示した細胞株および症例について点突然変異の有無をPCR-SSCP法あるいはPCR産物を直接シークエンスすることにより検討したが、意味のある変異は現在のところ認められない。 2.造血幹細胞の増殖と分化におけるMLF1の関与: 正常骨髄細胞より磁気ビーズにてCD34+幹細胞および各分化系列CD3+細胞・CD19+細胞・CD14+細胞・Gly+細胞・顆粒球をそれぞれ分離し、MLF1の発現をRT-PCRにて検討すると、CD34+細胞にのみ発現を認め、各血球系列への分化に伴い漸次発現が消退するものと考えられた。 3.MLF1はt(3;5)転座の原因キメラ遺伝子NPM-MLF1の構成遺伝子として同定されたが、NPM-MLF1の未分化骨髄細胞株およびマウス線維芽細胞株への導入発現によりアポトーシスによる細胞死が誘導され、MLF1部N端にアポトーシス誘導必須ドメインが存在することから、野生型MLF1自身もアポトーシスに関与する可能性を検討中である。
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