1998 Fiscal Year Annual Research Report
移植腎における転写因子の動態に関する検討 ; NFkBとNF-ATについて
Project/Area Number |
10770527
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
竹内 意 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (40264717)
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Keywords | 転写因子 / NFkB / in situ South western / シクロスポリン / 急性拒絶反応 / ヒト腎 |
Research Abstract |
転写因子NFκBのヒト腎組織における動態をin situ Southwestern法を用いて検討した.パラフィン切片では陽性所見を得ることができなかったため,全例無固定の凍結切片を用いて実験を行った.コントロールとして用いたのは,腎細胞癌のため腎摘となった腎臓の肉眼的に健常と思われる部分である.また腎炎としてはsevere DPGNの像を呈したIgA腎症を用いた.移植腎ではシクロスポリンによる腎毒性を呈した症例および急性拒絶反応を呈した症例を検索対象とした. コントロールの糸球体では,上皮細胞の核と細胞質,ボーマン嚢上皮細胞の核,一部の内皮細胞とメサンギウム細胞の核に陽性所見が認められた.尿細管では遠位・近位を問わず多くの尿細管上皮細胞の核に染色性がみられた.血管では血管内皮細胞の核と一部の中膜平滑筋細胞の核に陽性所見を認めた.しかし,IgA腎症やシクロスポリン腎毒性や急性拒絶反応でもコントロールと明らかな差異はみられなかった. コントロールとして用いた組織(腎細胞癌の肉眼的健常部)がはたして正常の状態を反映しているかどうかの吟味が必要である.今後は移植腎の1 hr biopsyや微小変化型ネフローゼなど他のコントロールとなりうる症例での検索も考えていきたい.また疾患群においては症例数が今のところ少ないため,増やして解析していく必要がある.さらに転写因子の増減だけではなく,mRNAや蛋白レベルでの発現の程度を検討をしていく.
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