1999 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧自然発症ラットにおけるNHE-3調節蛋白質の機能の解明
Project/Area Number |
10770530
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小林 一雄 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00280636)
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Keywords | 高血圧 / 尿細管 / Na^+-H^+交換体 / 調節蛋白質 / 分子生物学 |
Research Abstract |
我々は昨年度、高血圧自然発症ラット(SHR)、およびWister-Kyotoラット(WKY)、それぞれ4週令、11週令につき、腎臓でのNHE3および、その調節因子であるNHERF,E3KARPにつき、mRNA発現量をRNase protection assay法を用いて検討を行った。結果はNHE3発現は両者には差はなかったが、4週令及び、11週令において、NHERFの発現がSHRにおいて低下を認めた(p<0.05)。さらにE3KARPは11週令のSHRにて増加を認めた(p<0.05)。さらに昨年度から今年度にかけては、SHRにamlodipine,enalaprilを10mg/kg/日、6週間投与し、同様の検討を行った。NHE3、NHERFの発現には差はなかったが,E3KARPは降圧薬投与を行ったSHRにおいて発現量の低下を認めた(p<0.05)。 以上の結果から、NHERFは、遺伝的にSHRでのNHE3活性亢進、さらには高血圧発症を引き起こす要因の一つであることが考えられた。またE3KARPに関しては、高血圧時にその発現量が増加する事から、高血圧発症の結果生じている変化であると考えられた。 上記の結果を踏まえ,今年度は、SHR以外の高血圧発症モデル動物である、ダール食塩感受性ラット(DS)を用いて、同様の検討を行った。高血圧発症前の4週令のDS及び、そのコントロールであるダール食塩耐性ラット(DR)との比較検討、さらには、食餌の食塩を8%,0.5%の2群に分けて飼育した後の検討も行った。その結果は、DS,DRではNHE活性の亢進に差は認めず、上述のmRNA発現も明らかな差はなかった。以上より、これまで得られたNHE3及びNHE調節蛋白質の知見に関しては、SHRに特異的な変化である事が示唆された。
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