1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10770531
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
徳山 博文 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50276250)
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Keywords | 虚血性腎症 / NO / PGE_2 |
Research Abstract |
【目的】Ischemic NePhropathyの疾患概念は極めて重要であるが、その病態生理に関する知見は僅かなものでしかない。今回我々は、腎組織中における血管作動性物質の動態を、急性・慢性腎虚血モデルそれぞれにおいて比較検討した。【方法】急性腎虚血モデルにおいては、一側の腎を60分間完全虚血とし、両側腎皮質・髄質における血管作動性物質を測定した。慢性腎虚血モデルにおいては、一側の腎動脈に75〜80%狭窄をかけ、4週間後に同様の測定を行った。また、L-NAMEおよびAspirinを投与し腎機能の変化を観察した。【結果】有意な変化は、急性モデルでは、虚血側皮質にてNOが48%減少した。慢性モデルでは、虚血側皮質においてNOが55%、虚血側髄質において58%減少した。PGE2は、虚血側皮質において220%増加がみられた。(Con 1210.5±157.729pg/ml,4週後3881.25±550.348pg/ml,P=0.0009)また、Aspirin投与(10mg/kg)にてRBFは60%減少した。L-NAME投与(10mg/kg)にてはRBFの有意な減少はみられなかった。【総括】急性に比べ慢性虚血モデルにおいて、虚血側ではNOが減少しPGE2が著しく増加した。L-NAME投与にてRBFの減少はみられず、Aspirin投与にてRBFの減少が著しいことより、PGE2の慢性腎虚血における腎保護作用としての役割の重要性が考えられる。今後はNOの減少をNOSmRNAの解析などから分析し、慢性腎虚血におけるNOおよびNOSの機能分析を行っていく。
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