1998 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内胎児発育遅延の発症における血小板活性化因子の関与の検討
Project/Area Number |
10770547
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
谷垣 伸治 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80286533)
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Keywords | 子宮内胎児発育遅延 / 虚血再灌流 / 血小板活性化因子 |
Research Abstract |
我々は虚血再灌流により惹起したラット子宮内胎児発育遅延(IUGR)モデルにおいて、虚血再灌流傷害のメディエーターとして近年注目されている血小板活性化因子(PAF)の関与が見られるか否かについて検討を行い、本年度はまず、PAF受容体阻害剤を前投与し、IUGR発症にPAFの関与がみられるか否かを検討した。方法としては、妊娠17日目のS/Dラット子宮を虚血再灌流し、その後妊娠21日目に帝王切開術にて胎仔を娩出した。血流遮断側(左子宮角)と非遮断側(右子宮角)の胎仔体重を測定し、血流遮断前にPAF受容体阻害剤であるTCV-309(0.1mg/kg)をラットに静注した群と、コントロールとして生理食塩水を静注した群とを比較した。非遮断側(右子宮角)の胎仔体重の平均を100とすると、遮断側(左子宮角)の胎仔平均体重はコントロールで89.2と、非遮断側に比べ遮断側が有意の体重減少を認めたのに対し、PAF受容体阻害剤投与群では、遮断側の胎仔平均体重は101.5となり非遮断側、遮断側の胎仔体重間に有意差は認められず、胎仔IUGRの発症が抑制された。この結果から本モデルにおけるIUGR発症機序においてPAFが関与している可能性が示唆された。また、病理組織学的な予備的検討において、PAFと関連が深い顆粒球の組織浸潤が再灌流後の子宮に多く認められたことも、この可能性を支持する所見と考えられた。
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