1998 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素性虚血性脳症の発症における微小循環動態と活性酸素の産生および細胞障害の検討
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10770548
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤井 義広 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70286540)
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Keywords | 子宮胎盤循環不全 / 胎仔脳血流 / 二酸化炭素分圧 |
Research Abstract |
胎児・新生児期の中枢神経障害の原因の1つとして妊娠中の子宮胎盤循環不全による胎児低酸素血症がある。今年度我々は子宮胎盤循環不全が胎仔脳循環に与える影響を検討するため、全胚仔灌流系の確立と実験至適条件の設定を中心課題とした。妊娠12日目S/Dラットをハロセン麻酔下で開腹し子宮を摘出・切開し、胎盤を付着させたまま胎仔を取り出し、卵黄嚢を切開して胎仔頭部を露出した状態にした。まず培養の至適条件の設定を行うため様々な温度で培養を行い、36度での培養が最も長期観察に適していると考えられた。また、培養液はラット血清をHanks液で4倍希釈し、95%酸素・5%二酸化炭素の混合ガスで飽和させた液を用いた。脳表血管の血管径を生体顕微鏡下で観察し、顕微鏡に接続したCCDを用いてビデオ録画したのちにコンピューター解析して血管径を測定した。95%酸素・5%二酸化炭素の混合ガスで飽和したEBSS液(Earles Balanced SaltSolution)中で灌流し脳表血管を観察したところ、血管径は経時的変化に関らず一定であった。以上より本実験系は胎仔循環動態を比較的安定して観察でき、適切な実験系であると考えられた。今後、灌流液の飽和ガス濃度を変化させ、それぞれのガス濃度における灌流液中の酸素・二酸化炭素分圧を測定し、灌流液中の二酸化炭素分圧変化時の、血管径の変化率を算出することにより、二酸化炭素負荷がラット胎仔脳循環に与える影響を検討する予定である。
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