1998 Fiscal Year Annual Research Report
器官形成異常および先天異常を起こす染色体転座組換え点の分子生物学的解析
Project/Area Number |
10770552
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
小野 教夫 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 遺伝学部, 研究員 (20291172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
孫田 信一 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 遺伝学部, 室長 (00100165)
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Keywords | チャイニーズハムスター / 相互転座 / 発生・器官形成異常 / 染色体地図 / 比較遺伝子地図 / ラロン症候群 / ゲノム構造 / RDAサブトラクション法 |
Research Abstract |
今年度は、染色体転座により器官形成異常および先天異常を起こすチャイニーズハムスター系統のうち、侏儒症に類似する成長障害をしめすもの1系統(t(2;4)(p23;q19))、発生・器官形成に異常のみられるもの2系統(t(1;3)(p13;p23)、t(2;6)(p24;q29))の転座組み換え点解析のための染色体地図を作製し、さらに、ヒトの疾患との関連を調べるために、幾つかの遺伝子で比較遺伝子地図を作製した。染色体地図作製の結果、現在までに210個の染色体部位特異的なマーカーからなる染色体地図が作製され、転座組換え点を含む領域が複数のマーカーによりカバーできた。これらは今後、転座組換え点の分子生物学的解析に有用である。また、比較マッピングにより、チャイニーズハムスターとヒト染色体との相同性のある領域を染色体バンドレベルで明らかにすることが出来た。この結果により、チャイニーズハムスターの転座組換え点に対応する部位に原因遺伝子が存在する、ヒトの遺伝子疾患が幾つか見いだされた。特にチャイニーズハムスター2番染色体の転座組換え点付近に、ミオシン10遺伝子がマップされ、ヒトの5番染色体と高い相同性があることが示されたことで、ヒト5番にその原因遺伝子がマップされている成長障害を示すラロン症候群(成長ホルモン・受容体異常)との関連が示唆された。今後、相同な遺伝子が関与している可能性について検討していく予定である。さらに、染色体地図作製の過程で、多数の高頻度反復配列を含んだマーカーを得た。これらの染色体分布から、チャイニーズハムスターは、質、量ともに非常に多くの高頻度反復配列を含んだゲノム構造をしていることが明らかとなった。今後、ゲノムDNAのRDAサブトラクションにより転座組換え点を見いだしていくことを計画しており、ゲノムに含まれる反復配列の情報はサブトラクションのために有用である。
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[Publications] Sumiyama K,Ono T,et al.: "Human class III POU genes,POU3F1 and POU3F3,map to chromosome 1p34.1 and 3p14.2." Mammalian Genome. 9. 180-181 (1998)
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[Publications] Yonezawa S,Ono T,et al.: "Cathepsin E gene in mouse." Biomed.Res.19. 327-334 (1998)
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[Publications] Okamoto T,Ono T,et al.: "Assignment of the IkB β gene NFKBIB ti human chromosome band 19q13.1 by in situ hybridization." Cytogenet.Cell Genet.82. 105-106 (1998)
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[Publications] Yasuda Y,Ono T,et al.: "Cloning and chromosomal mapping of the human gene of neuroglycan C(NGC),a neural" Neurosci.Res.32. 313-322 (1998)