1998 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子産物(蛋白)の癌細胞への直接導入による新しい癌治療法の開発
Project/Area Number |
10770589
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
天池 寿 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (30285259)
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Keywords | 癌抑制遺伝子 / p16^<INK4A> / Antennapedia / 細胞老化誘導 |
Research Abstract |
<平成10年度> 我々は,antennapedia tag(核内移行蛋白)と癌抑制遺伝子の1つであるp16^<INK4A>の完全長蛋白との融合蛋白を大腸菌で発現させ,ヒスチジン・アフィニティーを用いて精製する手法を確立した.この実験系で得られたantennapedia-p16融合蛋白は,in vitroの系で,cdk4と結合すること さらにRbタンパク質のリン酸化能の阻害活性が完全に保たれていることが明らかとなった.そこで,まず精製した融合蛋白の生物活性を検討するため,癌細胞に導入に先駆けて正常細胞を用いて増殖抑制及び細胞老化の誘導が可能か否かについて検討を行った.その結果ヒト線維芽細胞(TIG-3)を用いた実験では,in vitroでは細胞培養液から3時間以内に細胞膜,さらに核膜をも通過して核内に集積し,さらに一週間後には,p16の最も重要な生理作用の1つである細胞老化状態を誘導させていることが明らかとなった. (Kato D.et al.FEBS Lett 427(1998)p203-208) <平成11年度予定> 1) antennapedia-p16融合蛋白の精製過程で明らかとなった問題点をもとに,ベクター構築および精製方法を見直し,より安定性や活性の高い融合蛋白が得られるように改良する. 2) 他の癌抑制遺伝子産物(Rb,p53,p21)との融合蛋白を精製し,癌細胞に対する増殖抑制効果を検討する(特に相乗相加効果の有無について). 3) 腹膜播種モデルマウスでのin vivoでの効果を検討する.
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[Publications] Kato D, Miyazawa K, Ruas M et al.: "Features of replicative senescence induced by direct addition of antennapedia-p16^<INK4A> fusion protein to human diploid fibroblasts." FEBS Lett. 427. 203-208 (1998)