1999 Fiscal Year Annual Research Report
antennapediaタンパクを用いた癌抑制遺伝子産物(蛋白)の癌細胞への直接導入による新しい癌治療法の開発
Project/Area Number |
10770589
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
天池 寿 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (30285259)
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Keywords | 癌抑制遺伝子 / p16^<INK4A> / Antennapedia / 細胞老化誘導 |
Research Abstract |
筆者らは、これまでにDrosophillaのantennapedia蛋白とサイクリン依存性キナーゼ(cdk)インヒビターの1つであるp16^<INK4A>との融合蛋白(ant-p16)が、不死化細胞株の老化を誘導し、その結果細胞の不可逆的な増殖抑制を誘導することを明らかにした。そして、この成果を癌治療に応用することを目的として本研究を開始したが、融合蛋白の精製法として当初用いたHistidine-Nickelカラムによる精製法は、大量発現の実験系の場合溶液中の融合タンパク質の安定性が著しく低下して、回収率が極めて低下する問題点が明らかとなった。 そこで今年度は、まずこの発現ベクターの構築と精製方法について再検討を行い、その結果GST融合タンパクの系を用いることで、比較的安価にかつ安定して大量発現の系でも目的とする融合タンパク質(ant-p16)の回収精製が可能なことを確認した。さらにp16のdeletion mutantとの融合タンパク質の発現系を確立し、昨年度までに明らかにした細胞老化の誘導作用が、確かに活性型p16によるものであることをin vitroの系で確認した(未発表)。現在は、ヌードマウスを用いた癌性腹膜炎モデルの条件検討を行いつつ、ant-p16およびコントロールのmutant ant-p16の大量精製をすすめている段階である。
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[Publications] Kant D,Miyazawa K,Ruas M et al.: "Features of replicative senescence induced by direct addition of antennapedia -p16^<INK4A> fusion protein to human diploid fibtoblasts"FEBS Lett. 427. 203-208 (1998)