1999 Fiscal Year Annual Research Report
人工酸素運搬体-ヘム結合ヒトアルブミン-による出血性ショック治療に関する研究
Project/Area Number |
10770590
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡辺 真純 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90201227)
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Keywords | 人工酸素運搬体 / アルブミンヘム / 出血性ショック |
Research Abstract |
アルブミンヘムはin vivoで生理的条件下(pH7.4、37℃)に酸素を可逆的に脱着することが知られている。出血性ショックラットに対してアルブミンヘムを投与し、各種パラメータを経時的に測定し生体内での酸素運搬能を評価した。ペントバルビタール麻酔下にラットの頚動脈、経静脈にカテーテルを留置した。脱血、アルブミン(5g/dL)注入を繰り返し、70%脱血交換モデルを作成した。この状態からさらに循環血液量の40%に相当する量を脱血し、同量のアルブミンヘム(5g/dL、FeP/HSA:4mol/mol)(n=5)またはアルブミン(n=6)をそれぞれ経静脈的に投与した。パラメーターとして動脈圧(トランスジューサー)、大動脈血流量(ドップラープローブ)、動脈および静脈血ガス分析、筋および腎皮質組織酸素分圧(針電極法)を経時的に測定した。脱血後に低下していた動脈圧、大動脈血流量はアルブミンヘム投与後30分で前値の90%まで復帰した。動脈血酸素分圧、静脈血酸素分圧、腎および筋の酸素分圧も投与後にそれぞれ増加傾向を示した。アルブミン投与群では投与30分以内に全例が死亡した。アルブミンヘム投与群ではアルブミンヘムの血中半減期は4.1時間であった。 以上よりアルブミンヘムが出血ショックに陥った生体内で酸素運搬能を有し機能している可能性が示唆された。半減期が短いことに関連し、代謝経路の解明は今後の重要な課題と考えられた。
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