1999 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌組織中のAP-1を介したERβ遺伝子発現に関する研究
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10770598
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
緒方 晴樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (60267581)
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Keywords | ERβ / AP-1 / ERE / Western-blotting / RT-PCR |
Research Abstract |
転写共役因子であるAP-1が、乳癌におけるホルモン治療抵抗性に関与している可能性を見い出すことが本研究の目的である。まず、40例の原発性乳癌症例に対して乳癌組織中のERαおよびERβ、AP-1のmRNAの発現をRT-PCR法を用いて解析した。19例にERαの発現を認めた。RT-PCR法とElA法によるERαの陽性率は,ほぼ相関した。ERβを発現した症例は、4例のみであった。AP-1はc-Fos、cJunの発現を解析した。c-Fos20例、cJun18例、両方発現した症例は1例のみであった。ERαとc-Fos、cJunに明らかな相関は認められなかった。同様にERβとc-Fos、cJunにも明らかな相関は認められなかった。さらに、腫瘤の比較的大きい症例19例の乳癌組織中のAP-1蛋白の発現をWesternblotting法を用いて行った。抗c-Fos抗体、抗Jun抗体を用い乳癌組織中のAP-1蛋白を解析した。ERαの陽性例にAP-1蛋白の発現が多くみられた。ERβの陽性例とAP-1蛋白の発現には明らかな相関は認められなかった。症例数が少ないため統計上の有意差は検討できなかった。乳癌症例においてERαおよびERβは、AP-1との相互作用上、異なった機能を担っている可能性が示唆された。そのため、細胞株(293T)にERαおよびERβ遺伝子ならびに組み替え遺伝子を移入し、その蛋白の発現を観察した。E2の存在下においてERαとERβ、さらに組み替えERαとERβおのおのの蛋白発現に差があった(未発表)。 今後は、さらにER response element(ERE)の存在下ならびに、AP-1存在下での蛋白の発現の差を検討していく予定である。
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[Publications] 緒方晴樹 他: "当科の乳房温存術における、術中、術後の断端浸潤の検討"乳癌の臨床. 14・3. 319-323 (1999)
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[Publications] Mamoru Fukuda et al;: "Therapy for Advanced Breast Cancer: Cyclophosphamide,"A Supplement to OBCOLOGY. 13・7. 77-81 (1999)
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[Publications] 山口 晋 他、: "進行・再発乳癌に対するCyclophosphamide,Adriamycine,UFTおよび"癌と化学療法. 26・8. 1145-1152 (1999)
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[Publications] 福田 護、緒方晴樹: "新女性医学大系 20 乳癌とその疾患 乳房疾患の診断法 組織診"中山書店. 7