1998 Fiscal Year Annual Research Report
GFP発現ベクター導入ヒト胆道癌細胞を用いた肝転移形成機序の研究
Project/Area Number |
10770603
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川本 徹 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (30282354)
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Keywords | GFPベクター / 肝微小循環 / 胆道癌細胞株 / 肝転移 |
Research Abstract |
1) 蛍光色素をラット尾静脈、あるいは脾臓から注入し、標識された白血球が肝に到達するかどうかを生体蛍光顕微鏡ビデオ観察・解析システムを用いて検討した。 (方法) 4週齢のWister系ラットをエーテル麻酔下に開腹し、肝左葉を脱転後、肝類洞の血行動態を観察するため肝表面にスライドグラスをのせ、生体蛍光顕微鏡ビデオ観察・解析システムにより観察した。この間、血行動態に著明な変化がないことを血圧及び血液中の酸素、二酸化炭素をモニターして確認した。続いて、速やかに経脾臓的にFluorescein Naを投与し、血清を蛍光標識したのち、同様の経路でRhodamine 6Gにより白血球を蛍光標識して、前述のシステムにより、計時的に肝類洞内の白血球動態をビデオ撮影した。同様に経尾静脈的に投与も試みた。 (結果) 経脾臓的に蛍光色素を投与した場合、標識された白血球は速やかに肝類洞内に達した。穿刺部位からの出血もほとんど見られなかった。一方、尾静脈からの投与では、標識された白血球が大循環系に入り、肺を経由するため、肝類洞内に達するまで、若干の時間を要した。 (考察) 蛍光標識した細胞の投与経路を検討し、その結果、経脾臓的に投与するのが最も安定していると思われた。 2) 我々の樹立した胆道癌細胞株にGFPベクターを現在導入中であるが、本実験に使用可能となるには、更に時間を要する見込みである。そこで、GFPベクターを導入した肉腫系のcell lineを用い、生体蛍光顕微鏡ビデオ観察・解析システムによる観察を行なった。投与した細胞数は1X10^6個であった。 (結果) GFPの蛍光は大変微弱で、観察は困難を極めた。また、投与後に摘出した肝臓を組織学的に検討したが、肉腫細胞は検出できなかった。 (考察) 投与経路を尾静脈にしたため、肉腫細胞の多くが肺でトラップされてしまった可能性が考えられた。また、GFP専用の蛍光フィルターの設置が遅れ、本実験では通常のフィルターを用いたため微弱な蛍光を検出できなかったと思われた。
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[Publications] Toru Kawamoto: "Analysis of the surgical procedure for type I+II hilar bile duct carcinoma" Proceedings of the 8th World Congress of the International Gastro-Surgical Club. 991-995 (1998)
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[Publications] Takeshi Todoroki: "Hepatopancreatoduodenectomy combined with major vessel reconstruction followed by postoperative radiotherapy for unresectable stage IV gallbladder cancer" Proceedings of the 8th World Congress of the International Gastro-Surgical Club. 963-965 (1998)
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[Publications] Naoto Koike: "The invasion potentials of human billary tract carcinoma cell lines:Correlation between invasiveness and morphologic characteristics" International Journal of Oncology.
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[Publications] 丸山 常彦: "胆道鏡下マイクロ波凝固の下部胆管癌治療への応用" 胆道. 12巻3号. 270-275 (1998)
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[Publications] 吉田 貞夫: "Chemoradiation therapyが奏効した進行食道癌の3例" 癌と化学療法社 第11回UFT研究会. 62-66 (1998)