1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクターピロリ菌感染による胃発癌の証明とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
10770608
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
丸田 福門 信州大学, 医学部 附属病院, 助手 (00293481)
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Keywords | ヘリコバクターピロリ / スナネズミ / 胃癌 / 腸上皮化生 |
Research Abstract |
研究実施計画に示したプロトコールに従って実験を施行した。プロトコールに示したA群(HP接種後、MNU 10ppm X 20週投与)19匹中7匹(36.8%)でスナネズミ腺胃に発癌がみられ、HP非感染コントロール群に比べ有意に(p<0.01)高い発癌率を示した。また、C群(MNU 30ppm X 隔週6週投与後、HP接種)においても18匹中6匹(33.3%)で胃癌が発生し、やはりHP非感染コントロール群に比べ有意に(p<0.05)高い発癌率を示した。HP感染単独群では胃癌の発生は認めなかった。B群(HP接種後、MNU 3ppm X 20週投与)においては、20匹中1匹(5.0%)で胃癌が発生したが、HP非感染コントロール群との間で胃癌発生率に有意差は認めなかった。また、腸上皮化生の検討では、A群のスナネズミでは全例に腺胃に腸上皮化生の発生を認め、C群では18匹中15匹(83%)で腺胃に腸上皮化生の発生を認めた。HP非感染コントロール群では腸上皮化生の発生はなく、A群、C群ともコントロール群に比べ有意に高い腸上皮化生の発生率であった。以上の結果から、新しい知見として、1.スナネズミはHPと胃癌及び腸上皮化生との関連を研究するために有意義な実験動物である、2.HPの感染は胃癌発生に関するプロモーター作用を有する、3.胃癌の発生した群では腸上皮化生の発生も高率である、ことが得られた。これらについては、第57回日本癌学会(平成10年9月30日)などで発表を行った。
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