1998 Fiscal Year Annual Research Report
組織特異的遺伝子マーカーの検索と消化器癌の転移診断への応用
Project/Area Number |
10770610
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大植 雅之 大阪大学, 医学部, 助手 (40294095)
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Keywords | 3'directed cDNA library / RT-PCR法 / GS04094 / 微小転移診断 / 骨盤洗浄液 |
Research Abstract |
本研究の目的は,ヒトゲノムプロジェクトの一環として作製されている3'directed cDNA libraryから組織特異的に発現する遺伝子を検索し,このマーカーを用いたRT-PCR法により消化器癌の微小転移診断をおこなうことにある.既に,gs04094およびgs02801遺伝子が大腸組織特異的な発現を示すことは報告したが,expression profileにおいてgs04094遺伝子の方が高発現であったため,我々は以降の検討にはgs04094遺伝子を選択した(日本大腸肛門病会誌,51,1125-1131,1998).gs04094は正常大腸粘膜および大腸癌でのみ発現し正常リンパ節,肝組織,血液組織で発現がみられないが,腹腔内における癌の微小転移を診断するにはこれだけでは不十分であり,手術操作に伴うcontaminationの可能性を考慮しなければならない.gs04094は発現は皮膚,脂肪織,筋膜,筋肉,腹膜では全く認められず,他の上皮細胞特異的なCEA,CA19-9などのマーカーと異なり,極めて特異性が高いものと考えられた.また,大腸癌組織のRNAを正常リンパ節のRNAで希釈しておこなった実験から,その検出感度は10^<-5〜-6>と算定された.gs04094の発現は大腸以外に胃や小腸粘膜でも認められ,広く消化器癌の転移診断に用いられる可能性が示唆された(Cancer Research,58,2440-2444,1998).現在,我々はgs04094をマーカーとして直腸癌の術中骨盤腔洗浄液を対象に漿膜癌浸潤や剥離面における癌細胞遺残の存在診断をおこなうとともに側方リンパ節転移との関連を検討中である.
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