1999 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌化学療法の感受性予測における分子生物学的因子の関与についての検討
Project/Area Number |
10770621
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小野田 尚佳 大阪市立大学, 医学部, 講師 (30295703)
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Keywords | 消化器癌 / 化学療法 / 抗癌剤感受性 / 分子生物学 |
Research Abstract |
化学療法感受性を規定する癌細胞の特性について、各種消化器癌細胞株を用いたin vitroでの基礎的検討と、化学療法施行症例の組織を用いた臨床的検討から考察した。 <基礎的検討> 1. DNAミスマッチ修復(DMR)遺伝子hMLH1の欠損は、癌細胞のCDDPに対する感受性を低下させたが、5-FUに対する感受性は明らかな変化を示さなかった。細胞内グルタチオン濃度の上昇は、癌細胞のCDDP、5-FUに対する感受性を低下させた.一方、癌細胞表面の糖鎖の発現の変化によっては、CDDP、5-FU、ADM、MMCの感受性に大きな変化は与えなかった。 2. 上記の消化器癌細胞核を用いて抗癌剤感受性と、薬剤曝露後早期のCellular Injury Response遺伝子c-myc mRNAの発現の関係を検討したが,曝露後3時間、24時間で明らかな遺伝子発現の変化は認められなかった. <臨床的検討> 胃癌に対して、CDDP/5-FUを用いて化学療法が施行された22症例の臨床検体を用い、DMRの欠損を示すMicrosatelliteの不安定性(MSI)を検討した。MSIがみられた症例のうち2/6(33%)で化学療法の効果が臨床的に認められた。一方、MSIのみられなかった症例では、11/17(65%)と、高い頻度で化学療法の効果が認められた。 以上の検討より、DNAミスマッチ修復機構の異常が、消化器癌、特に胃癌の化学療法感受性に関与している可能性が示唆されたが、その機序については明らかではなかった。
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