1999 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌におけるAKT-2遺伝子の遺伝子学的、細胞学的、臨床学的特性の検討
Project/Area Number |
10770630
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
早津 成夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10286502)
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Keywords | 膵癌 / AKT2 |
Research Abstract |
膵癌におけるAKT-2遺伝子およびAKT-2蛋白の関与を明らかにする目的で,膵癌細胞株・膵癌切除標本を用い,AKT-2遺伝子増幅およびAKT-2蛋白過剰発現と臨床学的特徴について検討している。膵癌細胞株(10種)・膵癌切除標本(パラフィン固定ブロック)を用い,DNAを採取後、Southern-blot法・Slot-blot法にてAKT-2遺伝子の増幅を検討した。また,抗AKT-2モノクローナル抗体を用い,免疫染色(FSAB法)にてAKT-2蛋白過剰発現を検討した.膵癌細胞株におけるSouthern-blot分析にて、AKT-2遺伝子増幅例は2例(Panc-1・SU86.86)に認められ、それぞれの増幅数は6倍・3倍であった。免疫染色にても,同2種の細胞株にてAKT-2蛋白過剰発現を認めた.膵癌切除標本(パラフィン固定ブロック)30症例にて、Slot-blot分析を施行したところ、AKT-2遺伝子増幅例は2例(6.6%)にて認められた。免疫染色にては,7例(23.3%)にAKT-2蛋白過剰発現を認め,AKT-2遺伝子増幅例はすべてAKT-2蛋白過剰発現を呈していた.AKT-2蛋白過剰発現例の病理組織型は中分化腺癌6例・低分化腺癌1例であり,病期進行度は,AKT-2蛋白過剰非過剰発現例間には有意な差は認められなかったが,AKT-2蛋白過剰発現例にて有意に生存率の低下を認めた.【まとめ】1.膵癌細胞株(Panc-1・SU86.86)にて、AKT-2遺伝子の増幅およびAKT-2蛋白の過剰発現が認められた。2.膵癌切除症例において、AKT-2遺伝子の増幅およびAKT-2蛋白過剰発現が認められた。3.AKT-2蛋白過剰発現と予後との関連が考えられた.
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