1999 Fiscal Year Annual Research Report
MMPs阻害剤R-94138の転移抑制効果および腫瘍増殖抑制効果に関する研究
Project/Area Number |
10770644
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
徳原 宏治 久留米大学, 医学部, 助手 (70268902)
|
Keywords | MMP阻害剤 / 同所性移植大腸癌 / ヌードマウス / ヌードラット / 術後補助療法 / 血行性転移 / 治癒切除モデル |
Research Abstract |
1.CGS27023AのKM12SM細胞に対する増殖能の検討(in vitro) CGSによるKM12SMの細胞形態ならびに細胞増殖能の影響は認めなかった. 2.ヌードマウス同所性移植大腸癌肝転移モデルにおけるCGS27023Aの転移抑制効果および腫瘍増殖抑制効果の検討 5週齢,雄性ヌードマウス(KSN)をエーテル麻酔下に開腹し,盲腸漿膜下に大腸癌由来の高転移株KM12SM細胞(2x10^6個)を注入後,3週目より30mg/kg/dayのCGSを朝夕2回,週6日,3週間経口投与した.CGS投与群の細胞注入5週後の盲腸移植巣の推定重量はコントロールに比べて有意に小さく.肝転移率も有意に低率であった.盲腸移植巣のMMP-1およびgelatinase活性はCGS投与濃度依存的に抑制された.また,CGS投与群の盲腸移植巣における微小血管密度はコントロールに比べ有意に低値であった. 3.ヌードラット同所性移植大腸癌治癒切除モデルにおけるCGS27023Aの転移抑制効果ならびに腫瘍増殖抑制効果の検討 5週齢、雄性ヌードラットを用い同様に盲腸移植し,5から6週後再開腹し、盲腸移植巣の腫瘍径が1cm以上あることを確認し盲腸間膜を含めて切除して大腸癌治癒切除モデルを作製した.30mg/kg/dayのCGSを朝夕2回,週6日の経口投与を切除後直ちに行う群,切除3週目より施行する群,vehicle単独投与群(コントロール)にわけ,切除後7週後の肺転移の状況,切除後30週までの生存率を比較した.移植巣切除直後投与群ではコントロールに比べて有意な肺転移抑制効果および延命効果が認められたが,相当量の間質を誘導する微小転移巣を形成する3週目からの投与では明らかな効果は認めなかった. 以上より,MMP阻害剤CGS27023Aは腫瘍血管新生の抑制を介して大腸癌術後の遠隔転移抑制効果を示すことが明らかとなり,術後補助療法として臨床応用が期待される.
|