1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10770651
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
野坂 誠士 島根医科大学, 医学部, 助手 (10294373)
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Keywords | 心内膜内皮細胞 / 左心室 / ET-1 / 圧負荷 / 左心房 / PGI2 / 右心室 / 血栓 |
Research Abstract |
1. これまでに心内膜内皮細胞(EEC)がendothelin-1(ET-1)を放出することをつきとめていたが,生体内におけるEECのET-1産生能を推測するため,培養EEC(左心室)を圧負荷(0,40,80,120,160mmHg)およびthrombin(200U/ml)で刺激して,そのET-1産生を調べた。 左心室EECのET-1産生はthrombinおよび圧負荷により増加した。圧負荷では圧依存性に増加した。この結果より,生体内においてEECは重要なET-1のproducerであり,このET-1が隣接する心筋のpositive inotropic作用に関与していることが推測される。 2. 以前EECがPGI2を産生,放出し,心腔内の血栓形成を予防していることを報告した。僧帽弁膜症の際には,左心房内の血栓形成は高頻度であるが,右心室内の血栓形成は低頻度である。そこで右心室と左心房の培養EECに圧負荷を行い,そのPGI2産生能を比較した。0mmHgのとき右心室EECのPGI2産生は左心房に比べて有意に高値であった。右心室EECのPGI2産生は圧負荷により圧依存性に増加したが,左心房EECでは変化がなかった。この結果より,左心房が産生するPGI2が少ないことが,左房内血栓が高頻度であることの一つの原因と考えられる。
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