1998 Fiscal Year Annual Research Report
脳腫瘍におけるEMMPRINとMMPの発現とその役割の解析
Project/Area Number |
10770684
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
鮫島 哲朗 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (00295213)
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Keywords | EMMPRIN / MMP / glioma / invasion / angiogenesis |
Research Abstract |
(目的)EMMPRIN(extracellular matrix metalloproteinase inducer:CDl47/旧名TCSF)はimmunoglobulin superfamilyに属する膜蛋白で、ヒト癌細胞で発現し、正常線維芽細胞からのMMP-1,2,3の産生を刺激する。そのcDNA解析より胎生期脳で発現するmouse basigin及びトリの血液脳関門(BBB)特異的抗原HT7のヒトhomologueと考えられる。本研究では正常成人脳、gliomaおよび全身諸臓器におけるEMMPRINの発現を比較検討した。(方法)諸臓器及びgliomaの組織を用いてEMMPRINの発現をNorthern blot、immunoblot、免疫組織化学的に検討した。(結果と考察)EMMPRINの発現は正常脳、gliomaともに認められたが、その発現レベルはgliomaで高く、特にhigh grade gliomaにおいて増強していた。さらに免疫組織化学的にEMMPRINの発現は、正常脳では血管内皮のみに限られ、glioblastoma(GB)では腫瘍細胞に強く認められ増生血管内皮は陰性であった。脳以外の組織では血管内皮での発現は全く認められなかった。in vitroでのGB細胞と脳由来線維芽細胞との混合培養において、GB細胞のEMMPRINによってpro-MMP-2産生の増加のみならず、MT1及びMT2-MMP産生増加を介した活性型MMP-2の増加を認め、及びそれは抗EMMPRIN抗体(E11F4)にて抑制が可能であることが明らかになった。EMMPRINの腫瘍浸潤への関与が示唆された。脳以外の組織でのEMMPRINの発現は、mRNAレベルでは心臓、腎臓及び胎盤で強く認められ、免疫組織化学的に陽性細胞は、(i)surface-covering epithelium type,(ii)basement membranc-associated typeに分類され、EMMPRINが正常組織において幾つかの異なった役割を持つ可能性が示唆された。
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