下垂体前葉組織におけるスーパーオキシドジスムターゼ発現の研究

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10770696
• Research Institution: Tokyo Medical University
• Principal Investigator: 西岡 宏 東京医科大学, 医学部, 助手 (60218120)
• Keywords: 下垂体 / スーパーオキシドジスムターゼ / 免疫組織化学 / オンコサイト

Research Abstract

下垂体前葉細胞におけるsuperoxide dismutase(SOD,BC1.15.1.1)の発現を免疫組織化学的に検討しその意義を検討した。対象は各年齢層の政情前葉組織と種々と種々の下垂体病変である。MnSODとOuZnSODは細胞質内の各々顆粒状、ひ慢性染色像として、各々、184±62%、559±133%の正常前葉細胞で陽性を示した。両者の割合に相関はなく、また年齢とも無関係であった。陽性細胞が均一に分布した前者と異なり、後者では多数の陽性細胞が集族する傾向を示した。また、前者の分布cytochaine oxidase(COX)およびmitochondrial protein(MP)のものとよく相関した。
正常前葉内にはMnSOD,COX,MPいずれも強陽性で大型の細胞が弧発生に散見され、非腫瘍性オンコサイト(膨大細胞)と考えられた。本細胞の比率は年齢と正の相関を示した。ミラー切片ではその多くは前葉ホルモンが陰性であったが、一部はα-subunitやRSH-βなどゴナドトロピンに弱陽性を示した。以上より非陽性オンコサイトは、高齢者に多い、ホルモン活性は低いが一部はゴナドトロピンと関係するなど、腫瘍性オンコサイトと共通の所見が認められた。
種々の下垂体病変における検索では、CuiZnSOD発現に変化は、見られなかったが、MN-SODには変化が見られた。急性期梗塞、リンパ球性下垂体炎、膿瘍など主に炎症所見の強い病変では、辺縁の前葉細胞にMn-SOD発現の増加が認められた。COX,MPに変化は見られなかった。これに対し、腺種辺縁の前葉細胞ではMn-SOD,COX,MPいずれも良く発現していた。以上より、前葉細胞は酸化的ストレスに対しMn-SODを発現する能力の高いことが確認された。また前葉細胞におけるMn-SODは告げんには、サイトカイン介在物質と、COXに代表されるミトコンドリア吸収の状態の両者が関連しているものと推測された。

Research Products

• [Publications] 西岡 宏: "Immunocytochemical demonstration of the expression and induction of manganese-superoxide dismutase in the adenohypophysis" Histochemical Journal. 30. 231-236 (1998)
• [Publications] 西岡 宏: "Immunocytochemical demonstration of oncocytes in normal adenohypophysis" Acta Neuropathologica. 97. 40-44 (1999)