1999 Fiscal Year Annual Research Report
悪性神経膠腫におけるヒスタミンおよびその受容体の臨床的意義
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10770702
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
広畑 優 久留米大学, 医学部, 講師 (40218863)
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Keywords | Glioma / Histamine / Histamine H1 receptor |
Research Abstract |
過去2年間に当科また関連3病院で手術を行なった悪性神経膠腫は全部で30例(昨年度の研究の段階では8例であるので22例増加)。であった。これらの摘出標本の凍結切片より昨年と同様にin situ hybridizationによりHistamine H1受容体の有無を検討した。Total26例で程度の差はあれH1受容体の存在が確認された。H1受容体陽性細胞の割合は高倍(400倍視野)で腫瘍細胞中の陽性細胞の割合を1検体30視野でカウントして測定した。H1受容体陽性26例では1視野あたりのH1受容体陽性腫瘍細胞の割合は5-45%であった。さらにこの同一切片を用いてこれらMIB-1、P53蛋白、Apoptagによるapoptosisとなった腫瘍細胞の有無を免疫染色で同じ計算方法で算定した。これらの結果は写真撮影してスライドとして、画像ソフトを用いてcomputerに保存した。さらにこれらの26例は臨床上データー(年齢、性別、初発症状から診断までの期間、術前の臨床症状:Karnofskyのperformance status、腫瘍の部位、血管撮影上の腫瘍血管の有無、)も加えてH1受容体陽性細胞の頻度と関係ある因子を多変量解析統計ソフトを用いて統計処理を行なった。H1受容体陽性腫瘍細胞の割合が高い症例では、MIB-1陽性細胞率、P53陽性細胞率、初発から診断までの期間(3ヶ月以内)、年齢(45歳以上)、腫瘍の部位(上位脳幹-間脳)が独立した因子であった。また以上の30症例中術前に脳脊髄液の採取が可能であった15例に対して、脳脊髄液中のHitamine濃度についてRadioimmunoassay kit(Dupon)を用いて測定した。15例の脳脊髄液内のHistmaine濃度は感度以下から10-7Mであった。脳脊髄液中のhistamine量とin situ、免疫染色所見、臨床上のデーターとの間の相関をやはり多変量解析で検討したが、histamine量と独立した相関を持つ因子は存在しなかった。現在これらの30症例の臨床経過とH1受容体との関係をfollow-up中である。
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