1999 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期における脳発達の3次元解析-超高磁場磁気共鳴画像(4.7テスラMRI)による立体的観察-
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10770703
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
木下 良正 産業医科大学, 医学部, 助手 (00258617)
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Keywords | fetus / germinal matrix / magnetic resonance imaging / 3-dimensional analysis / ventricle / virtual reality |
Research Abstract |
胎児超音波診断,胎児MRI診断では胎児期の正常脳発達を熟知しておく必要があり,本研究結果は注目されており日本磁気共鳴医学会の国際飛躍賞を受賞した. 1.本研究は脳を摘出することなくMRIで測定しているため脳変化は少なかった. 2.従来の脳重量の変化と比較したところ我々の体積変化は一致しておりMRIによる体積測定の妥当性が証明された. 3.脳室上衣下胚層(GML)の体積は19週から23週にかけて急速に増加し23週でピーク体積2346mm^3に達していた.過去の報告ではピーク体積は380-680mm^3とされていたが,病理作成時の検体収縮(収縮率82.9±4.4%)を考慮すると我々の測定値がより実際に近いと考えられた. 4.脳実質体積とGMLの体積はそれぞれの急増時期と増加率は一致し,GMLの体積は脳体積の約5%を維持していることをはじめて明らかにした. 5.皮質原基に向かう細胞移動は11-16週齢におこるされ7-10週齢の移動より大きくmigratingneuroblast の層にあたる.Girardらは23-28週齡,Chongでは16-18週齡で認められたと報告しており我々は17-25週齡で認められた. 6.脳室形態は13週齢までは'vesicular'パターンを呈し中脳胞が認められた.17週齢より中脳胞が狭くなり脳梁の発達に伴い脳室はbicornuate shapeを呈する.23週齢より前角は狭小化し拡大した後角のfetal typeを呈し,28週齢では後角もやや狭小化しabult typeの近づいていることを3次元再構成画像で確認でき,両側脳室の体積は7〜23週齢まで徐々に増加しピーク体積は2646mm^3であった. 7.傍矢状オブリーク像の再構成画像では側脳室三角部の大きさがほぼ一定であり,水頭症で最初に現われる微候がこの側脳室三角部あるいは後角の拡大であり診断に有用である.
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[Publications] 木下良正: "胎児期脳発達過程の画像評価-特に上衣下胚層と脳室-"臨床放射線 第44巻臨時増刊号. 44(11). 1235-1242 (1999)
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[Publications] Y.Kinoshita: "Volumetric Analysis OF Germinal Matrix and Lateral Ventricles using Magnetic Resonance lmages of Postmortem Fetuses"American Journal Neuroradiology. (発行予定).