1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト腰椎椎間板における成長因子と受容体の遺伝子発現 および圧負荷対する変動
Project/Area Number |
10770705
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
長田 龍介 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (40293310)
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Keywords | 椎間板 / 成長因子 / 三次元培養 |
Research Abstract |
当教室ではこれまで基質合成促進因子であるIGF-1を牛尾椎椎間板に見い出し、IGF-1が自己分泌機構を介して椎間板の基質統合に関与することを明らかにした。本研究はヒト椎間板における複数の成長因子の作用および力学的環境変化に伴う自己分泌機構の発現調節について検討することを目的とした。腰椎椎間板ヘルニアの手術時に摘出された検体から椎間板細胞を分離し単層培養で細胞数を増加させた後、IGF-1、PDGF、TGF-βを添加した際のDNA合成能、proteoglycan合成能を調べたところ、DNA合成はPDGFにより、proteoglycan合成能はIGF-1とPDGFにより、それそれ刺激された。一方TGF-βはDNA、proteoglycanのいずれの合成にも影響を与えなかった。 しかしここまでの実験は単層培養細胞の結果であり培養に伴う脱分化の影響が避けられないとして、椎間板細胞としてのphenotypeを保持するために三次元培養を行うことが望ましいと考えられた。腰椎椎間板ヘルニアの手術時に摘出された細胞は十分な細胞が得られない上、変性の著しいものから分離した細胞は線維輪と髄核の解剖学的区別が不明確な上、培養しても増殖し得ないものも存在したことから、三次元培養には健常な牛尾椎椎間板を材料として用いることとした。牛尾椎椎間板より髄核、線維輪の細胞をコラゲナーゼ処理によりそれぞれ分離し、アルギネートビーズ内に封入し、各種濃度のIGF-1、bFGF、TGF-βを添加した無血清培溶液及び10%FBS含有の培溶液中で培養した。直後,24,48,72,96時間後にとりだし、グルタールアルデヒド含有カコジル酸バッファーに入れて固定、冷蔵保存し組織学的検討に用いると同時に、凍結保存した検体中のIGF-1、bFGF、TGF-βの各mRNAをRT-PCRにより検討を行っている最中である。
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